大国主神に学ぶ日本人の生き方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
長編詩「大国主」と4つの魂…和魂、荒魂、幸魂、奇魂
大国主神に学ぶ日本人の生き方(5)長編詩「大国主」を読む
鎌田東二(京都大学名誉教授)
幾度となく理不尽な目に遭う大国主神の性質や様子を、世界神話の神々と比較しながら描いた鎌田氏の長編詩「大国主」。『古事記』を「世界の中の叙事詩の伝統」の中に位置づけてきた鎌田氏が、『古事記』の神聖な響きを維持しながら、『古事記』がどのようなメッセージを含み持っているのかを、現代の詩の形で表現したものである。この「詩」で描かれるものやメッセージとは、どのようなものか。実際に詩を朗読しながら、この世の現象を表す和魂、荒魂、幸魂、奇魂という「4つの魂」とともに解説する。(全9話中5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分55秒
収録日:2023年8月8日
追加日:2024年1月7日
≪全文≫

●長編詩「大国主」の由来


―― いよいよ次のパートからは先生の詩をご紹介しつつ、先生に解説いただいた物語を再び味わおうというところになります。これはそもそもどういった状況でお書きになった詩なのですか。

鎌田 コロナ禍が3年半近く続いたわけですが、コロナ状況になって2021年から『絶体絶命』という詩集を書き始めました。

 私は神道ソングライターとして活動していて、サードアルバムのレコーディングを始めたのです。月1回、曽我部晃さんという相棒のスタジオに通い、レコーディングが順調に進んでいった矢先の2022年2月24日に、ロシアによるウクライナ侵略が起こった。これによって、本当に“絶体絶命”の感がいっそう強まりました。歌も大事だけれども、それまで『常世の時軸』『夢通分娩』『狂天慟地』という3冊の詩集を出していて、『狂天慟地』は天が狂って、地がわななく、慟哭するというものです。そこから第4詩集の『絶体絶命』に至ったわけです。

 歌もいいけれども、3番目の詩集の次に第4番目を出さねばならないという気になって、1週間でバーッと書き上げたのが、この『絶体絶命』という詩集です。その『絶体絶命』の詩集を第1部、第2部、第3部に分けて、(これから紹介する「大国主」の詩を)第3部に最初は置いたのです。それを川上さんに見てもらった。

 川上さんが『絶体絶命』の草稿段階のもの、私が校正したものを見て、「鎌田さん、これはやはり冒頭に置くべきではないですか。そのほうが絶対にインパクトがありますよ」と言った。

―― 生意気なことを申し上げました。

鎌田 いえいえ。それで第1章にその詩をもってきたのです。川上さんの「なおし」の力で、私が最後に置いたものを一番前に持ってきた。冒頭に「序詩 常若の教え」を置いて、その次に第1章から始めたわけです。


●大国主――なぜこれほどの重荷を背負わねばならないのか?


―― そのような詩です。まず、これが冒頭の部分になります。先生、お願いしてもよろしいでしょうか。

鎌田

 大国主

 なぜこれほどの重荷を背負わねばならないのか?

 おほくにぬし
 おほなむぢ
 あしはらしこを
 やちほこ
 うつしくにたま
 あめのしたつくらししおほかみ

 いくつもの名前をもつ
 あなたは
 名前が多ければ多いほど
 重荷も多い
 重荷が重...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
田口佳史
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(2)MAGAの矛盾と内戦の現状
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(2)プロテスタントと「予定説」
カトリックとプロテスタントの違いは?「救済予定説」とは?
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理