死と宗教~教養としての「死の講義」
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極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
日本人の死生観を築いていった仏教の宗派は浄土宗・浄土真宗、禅宗、法華宗・日蓮宗であるという。念仏による極楽往生、坐禅がそのまま覚りであること、在家にいながらの菩薩修行は、いずれも死の恐怖に向かう日本人の姿勢をサポートし、死に別れする運命に立ち向かう術を教えてきたのである。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分14秒
収録日:2022年3月3日
追加日:2022年5月9日
≪全文≫

●末法の時代に阿弥陀仏を紹介した釈迦仏


橋爪 いろいろな宗派によっていろいろな考え方がありますが、生き死にに関していえば、おおむね人間は輪廻すると考えます。その中で、日本人にとって大事な宗派は三つあります。浄土宗・浄土真宗がひとつ。禅宗がひとつ。それから、法華宗・日蓮宗がひとつです。

 これらはどれも仏教の原則にのっとるのですが、仏教の原則にプラスアルファのことをいっています。そのため、結論としては生き死にの考え方が違ってくるのです。最後にここを説明したいと思います。

―― わかりました。よろしくお願いいたします。

橋爪 まず浄土宗です。日本では浄土真宗のほうが大きくなりましたが、同じ系統のものです。

 根拠になるのは、「浄土三部経」という3つの経典で、どれも釈迦仏が極楽浄土の阿弥陀仏を紹介しています。末法の世に入り、これまでのように勉強したり修行したりしていたのでは、そもそも覚るのが無理になってくるのです。

―― ここでは、仏教の「末法」という考え方が面白いですね。これは、だんだん誰も覚れなくなるということなのですね。

橋爪 釈迦仏の教えが伝言ゲームのように、伝わっているうちに劣化するため、世の中がだんだん悪くなっていく。右肩下がりに悪くなっていくのです。それが末法です。末法になると、お釈迦様の教えをまともに修行して覚ることが難しくなる。今年(2022年)始まった「大学入学共通テスト」が難しいと大騒ぎになっていますが、あれが毎年難しくなって、そのうち誰も合格できなくなるような話です。

―― それはなかなかシビアな話ですね。

橋爪 そうすると、誰もが考えるのか、どこか裏口入学で試験を受けずに合格できる大学はないかと。

―― そうですね。もともとの方法では、誰も入れなくなるぐらい難しくなってしまうということですね。

橋爪 釈迦仏は、そういうこともお見通しなわけです。そこで、「末法になったら、私の友だちの阿弥陀君がいるから、彼のところに行きなさい。阿弥陀君は昔、修行の時代に願をかけて、「困った衆生の人びとをみんな救おう」と約束した。そうして極楽浄土を開き、「末法の時代なら、みんな極楽浄土にいらっしゃい」と招いてくれているのです。極楽浄土に着きさえすれば、誰でもビザなしで入国できるのです。


●念仏で極楽に行けることを証明した法然


橋爪 では、どうす...

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