●プラトンはソクラテスの弟子であり、アリストテレスの師であった
2回目はプラトンです。プラトンといえばイデア説が有名です。これがどのようなものか、そしてこれが私たちにとってどのような意味を持っているのかについて、お話をします。
プラトンは紀元前427年から347年、ソクラテスよりも少し後の時代に生き、ソクラテスの弟子でした。この人はアテナイの王族の出身で、貴族でした。たくさん弟子がいましたが、その中に次回にお話しするアリストテレスがいました。
ソクラテスは本を一冊も書きませんでしたが、プラトンはソクラテスを題材にした書物を非常にたくさん書いています。『饗宴』『ソクラテスの弁明』、あるいは晩年に書かれた『国家』などが有名です。スライドに示した絵はラファエロ・サンティが書いた「アテナイの学堂」という有名な絵画の一部です。ちょうど真ん中に二人の人物がいて、左を歩いている老人がプラトンであり、右の若干若い人がアリストテレスであるといわれています。手つきが非常に特徴的で、プラトンは上を指しており、アリストテレスは下を指しています。これが二人の哲学の方向性の違いに表されています。それはどういうことなのか、以下で解説します。
●イデアとはあるものがどのようなものかに関する定義である
まず、イデア説についてお話しします。私たちの身の回りにはさまざまなものがあります。自分自身を含めた人がたくさんいたり、あるいはペットの犬がいたり、あるいは三角形の図形があります。こうしたものは一体何なのか。
例えば、ここにイチローさんと花子さんとトムがいて、犬のハチ公とスヌーピーがいて、三角形が描いてあるという場合を考えます。私たちはこのイチロー、花子、トムは人間であり、ハチ公、スヌーピーは犬であるということをしっかり区別できます。どうしてかというと、それは私たちが人間はどういうものなのか、犬はどういうものかということを知っているからです。
三角形であれば、これが三つの角を持つ図形であるといえるかもしれません。人間と犬の場合はもう少し複雑になります。いずれにしてもそうしたものが分かっていて、三角形を定義できるわけです。この定義のことをプラトンはイデアと呼びました。どうして定義といわずにイ...