「アカデメイア」から考える学びの意義
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プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
古代ギリシアでプラトンによって設立された学園アカデメイア。現代の学問共同体のモデルにもなっている「アカデメイア」とは、はたしてどのような場であったのか。政治や権力から独立を確保しつつ、人々が寝食をともにしながら、自由に徹底的な議論を行ない、哲学を深く探究していくアカデメイアの営みから、学びの本質の一面が浮かび上がってくる。(全4話中第2話)
時間:10分08秒
収録日:2025年6月19日
追加日:2025年8月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●学問のモデルとなったプラトンの学園アカデメイア


 現代における学問あるいは学びというものを考える上で、私たちが参照すべき一つの原点というものが、古代ギリシアで紀元前4世紀の前半に設立された学園アカデメイアにあると思います。これについて少しお話ししていきたいと思います。

 古代ギリシアの哲学というものは、紀元前6世紀、5世紀、4世紀と大きく発展しました。その中で、紀元前387年ごろといわれていますが、当時の中心地であるアテナイ、現在のアテネの郊外に哲学者プラトンが開いた学園が「アカデメイア」と呼ばれて、それが長く影響を持ってきました。

 アカデメイアというのは、アテナイという城壁に囲まれた街の外側で、2キロぐらいのところ、それほど離れていないところの神域にあった非常に静かな場所です。プラトンが私財、そして私邸、自分の土地を提供して、そこに小さな学校を開いたということです。

 それがその後、長い時間をかけて、今日私たちの学問、とりわけ西洋の学問や教育というもののモデルになったことになります。

 そのアカデメイアというものについてお話しするわけですが、廣川洋一先生のご本『プラトンの学園アカデメイア』が1980年に出ており、これは素晴らしい本です。日本語で出ていますけれど、洋書でも(これに)匹敵する素晴らしい本がないというほどいい本で、アカデメイアの歴史と内実について書いてありますので、ぜひご覧になってください。


●プラトンはなぜ「アカデメイア」を創ったのか


 プラトンは紀元前427年頃に生まれたので、ちょうど40歳頃の出来事、人生の半分ほどの(時点の)出来事なのですが、なぜその段階で、自分のお金や労力を費やして学校のようなものを創ったのかということについては、必ずしも証言が多いわけではないのですけれど、状況からみて私は2つ大きな理由があるのではないかと考えています。

 一つは、プラトンの先生であったソクラテスが、先立つこと10数年前、紀元前399年に裁判にかけられて処刑になりました。この事件が大きく影響を与えていると思います。その顛末(てんまつ)については、皆さんさまざまな本でご存知だと思いますけれど、(ソクラテスは)アテナイの市民で人...

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