「アカデメイア」から考える学びの意義
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より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
私たちにとって「学び」はどんな意義を持つのか。学びについて考えるべき要素は3つあると納富氏はいう。さらに、「学びは生きる場所」でもある。今生きている人と対話をする。先人たちと書物を通じて対話する。そのことで、自分自身がなしうる「限られた人生」は大きく拡張していく。さらに、全然違う世界を見たり、全然違う時代を知ったり、全然違う考え方の人と議論することで、自分が「より良いもの」へと変容していく。そしてそのような「学び」そのものが、「人間として充実して生きる目的」にもなっていくのである。(全4話中第4話)
時間:12分27秒
収録日:2025年6月19日
追加日:2025年9月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●「開かれた知」の重要性


 これまでプラトンの学園アカデメイアというものを通じて、私たちが受け継いできた学問や学びというものを考えてきました。ここでもう一度現代に戻って、私たちにとってその学びというものがどういう意義を持つのかということを考えておきたいと思います。

 学問というのは人類の知的な営みですが、公共福祉に資するということは、ある意味で疑い得ないことだと思います。ただし、その場合、どのような学問のあり方がいいのか、より良いあり方、ないしは現在不十分なところは何かということを反省するということは大事です。その意味で、常に批判的な目を持って教育や学問のあり方を考えていくということはまず必要だと思います。

 私は大きなキーワードとして、3つ考えるべき要素があると思います。

 一つは開かれた知、オープンな知です。知識とか情報というものはとかく独占されてしまうというか、知を持っている者は権力を持ち、かつお金を手に入れるという構造からしたら、知というのは偏在、(つまり)偏って持たれてしまう、ないしは不均衡不平等が生じるというのが常です。

 大学や学問というものは、それにできるだけ対抗し、一部の人々のため、あるいは独占されるような知ではなく、それは万人のために開かれたものである共有のものであるという理念です。これには国家の独占ということも問題になりますし、あるいは一部の階級や一部の特定の人々というものに留まるということをなるべく排除するということもありますが、学問あるいは哲学というものが持っている普遍性、ユニバーサルな性格ということです。

 誰それだけが哲学をすればいい、学問をすればいい、誰それだけがそれによって恩恵をというのではなくて、人間、あるいは地球、あるいは宇宙全体ができるだけ良くなるようにあるのが学問、知識というものだと思います。開かれた知というのが1つ目です。


●「批判の精神」が学問の基礎


 2つ目のキーワードは「批判の精神」ということです。批判、クリティシズムです。これはプラトン以来の学問、あるいはものを考えるときの基本中の基本で、人の考え、今まで受け継いできたさまざまな考えを批判的に扱うことです。つまり、これは間違っているのではないか、ここはおか...

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