プラトンの哲学を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
プラトン対話篇の鍵はソクラテスの理解にある
プラトンの哲学を読む(3)2つの誤解
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
ソクラテスは何も書かなかった哲学者である。今日、私たちはプラトンのソクラテス像を通じて彼を理解することも多い。そこで流布してきたのは、本人の発言を忠実に再現しているという説と、プラトンの代弁者という説だ。東京大学大学院人文社会系研究科教授の納富信留氏によれば、これらはいずれも誤解であるというのだ。(全6話中第3話)
時間:10分31秒
収録日:2018年7月11日
追加日:2018年10月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●プラトン哲学について議論する鍵はソクラテスの存在


 前回申し上げた、プラトン対話篇の特徴に、プラトン自身、つまり著者自身が登場しないという戯曲形式の中で哲学が展開される、とりわけソクラテスという主な登場人物が対話相手と一緒に議論するという形式というものがありました。では、そこでは一体何が起こっているのかを考える上で、ソクラテスという登場人物が一体どういう人なのかが鍵になると思います。

 私たちは通常、プラトンの哲学、あるいはプラトン哲学というものを議論していますが、今言ったように私たちに残されたプラトンの作品の中に、プラトンが自分の名前で主張している箇所はありません。つまり、「プラトンはこう考えた」とか、「プラトンがこう主張した」という証拠が私たちには残されていないのです(なお、今回、書簡に関しては脇に置いておきます)。

 そうすると、一体プラトン哲学はどう語ることができるか。そのことが、ここで議論する上で大きな謎となります。これについては、研究者がいろいろと議論していますが、もちろん決定的な解釈はありません。鍵となるのは、ほとんどの対話篇で主役を務めるソクラテスという人物です。ソクラテスはプラトンの先生に当たる人物ですが、なぜプラトンはソクラテスを常に登場人物にしているのか。それを読み解いていくことが、当然この問題を解く鍵になるのです。

 ソクラテスは紀元前469年に生まれたと推定されています。そして、紀元前399年に刑死しているソクラテスが「私は70です」と言っているということで、逆算すれば、確かにそのぐらいの年齢になります。プラトンとは40年ほど歳の差があったことになります。

 また、ソクラテス自身は何も書きませんでした。ここはポイントです。ソクラテスは、常にあちらこちらに出かけて行っては人々と対話を交わしたわけですが、彼は書くということには一切執着しませんでした。むしろそれを意図的に避けた可能性があります。なぜかというと、対話をするというのは、今この場でリアルに人と言葉を交わすことで、それが哲学だということがおそらくソクラテスという人物の姿勢だったと思います。ですから、ソクラテス自身の作品は1つもありませんし、もちろん何も書きませんでした。


●ソクラテスに関する2つの大きな誤解


 では、そのソクラテスがプラトン対話篇に現れているとき、どう扱わ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(1)なぜ『神国日本』なのか?
ラフカディオ・ハーンが解明した「美しい日本」の秘密と未来
賴住光子
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(26)お盆とあの世を考える
【10min解説】特集で考える《お盆とあの世》の本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎