西洋哲学史の10人~哲学入門
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
マルクス:下部構造が上部構造を規定する…唯物史観とは?
西洋哲学史の10人~哲学入門(9)マルクス 下部構造が上部構造を規定
貫成人(専修大学文学部教授/文学博士)
マルクスは「下部構造が上部構造を規定する」という表現により、これまでの西洋哲学を根本から転倒させた。全世界の社会主義や共産主義にも影響を与えた彼の考えの中核はどのようなものなのか。専修大学文学部の貫成人氏が論じる。(全10話中第9話)
時間:12分01秒
収録日:2018年2月9日
追加日:2018年6月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●マルクスは全世界の社会主義に影響を与えた


 第9回目はマルクスです。マルクスは、社会主義・共産主義の元祖で、これらに影響力を持った哲学者です。ここでは、彼の考え方の中核にある、「下部構造が上部構造を規定する」という言い回しについて考えてみたいと思います。

 マルクスは19世紀の後半に活躍した人で、生まれはドイツ西部のフランスとの国境付近にあるトリーアというところです。ユダヤ人で、お父さんが弁護士をしていました。言うまでもなく、全世界の社会主義・共産主義に影響を与えました。主著は『資本論』です。


●肉体や労働である下部構造が、精神や倫理である上部構造を規定する


 先ほど申しました、「下部構造が上部構造を規定する」という表現について考えます。ここで下部構造とは、人間の活動や出来上がった社会の前提となるさまざまな生産の様式、つまり産業の在り方のことです。例えば、人間は自分の体を動かしてさまざまな労働をします。そこでは畑を耕す、道路をつくる、工場で働くなど、いろんなものが考えられますが、そうしたフィジカルな働き方や、それを部分として持つ生産の様式のことを「下部構造」と呼んでいます。

 それに対して「上部構造」とは、肉体に対する精神や、その精神の在り方を決めていく社会における倫理、キリスト教や仏教のような宗教、憲法や民法などの法、これらの背景にある哲学的な考え方、さらには芸術や絵画や音楽などのことを指します。簡単にいえば、上部構造とは人間にとっての精神や精神的な活動、その産物のことであり、下部構造とは身体やさまざまな製品を作る活動のことです。マルクスの考えは、この肉体や産業の在り方としての下部構造が精神である上部構造を規定するというものでした。

 このようにいうと、少し違和感があります。というのは、人間において、やはり肉体よりは精神、身体よりは知性が、人間を人間たらしめている部分であると考えることもできるからです。誰もが人間として頭で考え、知性や精神でいろんなことを考えて決め、それに従って体を動かしたりするので、むしろ上部構造がさまざまな肉体や産業の在り方を決めていくというのが当然なのではないか、という考えです。むしろ逆ではないか、つまり上部構造が下部構造を規定するとい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(4)消された歴史を掘り起こす
根本博の功績は台湾では消されていた…取材でいかに正史を変えたか
門田隆将
編集部ラジオ2026(26)お盆とあの世を考える
【10min解説】特集で考える《お盆とあの世》の本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
戦前派一日本人の憂鬱~太平洋戦争と敗戦後を顧みて…(1)
『きけわだつみのこえ』を読むと今でも涙が止まらない
野田一夫
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎