トランプ発貿易戦争
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
トランプの経済観は一言でいうと「重商主義」
第2話へ進む
トランプが仕掛けた米中貿易戦争の行方
トランプ発貿易戦争(1)米中の追加関税問題とその影響
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
今、米中間で関税をめぐる貿易戦争が繰り広げられている。この終わりの見えない争いは、米中のみならず世界経済にも低迷と混乱をもたらしかねない。「アメリカ・ファースト」のトランプ氏と「中国夢」の習近平氏の攻防は、今後どのように進んでいくのか。着地点はどこなのか。米中の関税を中心に激化する貿易問題を解説する。(全6話中第1話)
時間:7分14秒
収録日:2018年10月11日
追加日:2018年11月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●米中の貿易戦争は日本にとって非常に切実な問題


 「トランプ発貿易戦争」という話をさせていただきます。今、世界中が最も関心を持って注目しているのは、アメリカのドナルド・トランプ大統領が中国をはじめ、世界諸国に一方的に仕掛けている高率の追加関税の問題だと思います。

 トランプ氏は、これまで世界で協議して合意してきたWTO(世界貿易機構)の国際ルールを無視して、“America First”を掲げ、ほとんど無法な攻勢で世界に貿易戦争ともいえる事態を引き起こしています。この関税攻勢は貿易量を委縮させますから、世界経済全体を収縮させる恐れがあります。それは当のアメリカにも、消費や生産活動に必要な輸入品の減少と、物価の高騰をもたらす弊害があるわけです。

 中国は大国のメンツにかけて報復関税で応じています。一体このチキンレースはいつまで続くのか、いうことです。それから、これからどのように展開するのだろうか。世界経済にどんな影響があるのだろうか。これは、われわれ日本にとって非常に切実な問題です。今回は皆さんと一緒に、事実をかなり緻密にフォローしながら、この問題について考えてみたいと思います。


●追加関税の応酬は一般の生活者にも相当な影響を与えることになる


 2018年9月24日にトランプ政権が中国に、制裁追加関税の第3弾を発動しました。中国からの輸入品約2,000億ドル、日本円だと22兆円と言われているものに追加関税を課したのです。中国も600億ドル相当の報復関税で応じたのですが、両方とも即日実施でした。

 こういう事態になると、一般の生活者が使うようなものにも関税がかかってきます。アメリカの発動対象は5,745品目で、これは一般経済に相当な影響を与えることになります。

 トランプ氏がこういうことをやって、中国が報復を続けると、どうなるかということなのですが、彼は「それならこちらも、残りの輸入品全部に追加関税をかけてやる」と言っています。全体でどのぐらいかというと、輸入品の総量は5,000億ドルを少し超えますが、それに全部関税をかけてやるということを9月末に言っているのです。一体、このような応酬がどこまでいくのでしょうか。


●中国が握る鍵は「中国夢」と「国債」


 アメリカと中国は、これまで第1弾、第2弾、第3弾と、3回にわたって追加関税の応酬をしています。アメリカの場合、中国からの輸入は年間5,000億ド...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
これから必要な人材と人材教育とは?(3)無謬性とジョブローテーション
もうゼネラリストを育てる人事制度では時代に対応できない
柳川範之
AI時代と人間の再定義(6)道徳の起源から考えるAIと感情の問題
道徳の起源は理性か感情か?…AI時代に必要な思考の身体性
中島隆博
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
プロジェクトマネジメントの基本(9)リーダーシップとモチベーション
マズローの欲求階層説を発展させたアルダーファの理論とは
大塚有希子
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司