2018年激動の世界と日本
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日本は中国を嫌っている場合ではない
2018年激動の世界と日本(11)中国との付き合い方
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
中国では70年間選挙が行われておらず、開明的な学者は抑圧される。一方、アジアインフラ投資銀行の発展に象徴されるように、「一帯一路」政策は成功を収めている。日本も中国を嫌っている場合ではなく、戦略的な互恵関係を築くべきだと、公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏は主張する。(2018年1月16日開催島田塾会長講演「激動の世界と日本」より、全14話中第11話)
時間:6分16秒
収録日:2018年1月16日
追加日:2018年4月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●中国は70年間、選挙をしたことがない


 中国の問題は大きく2つです。一つは政治的な面、もう一つは経済的な面で問題があります。中国は70年間、選挙をしたことがない国なのです。世界の主要国にそんな国はありません。習近平政権は選挙で選ばれたものではないですから、国民も自分たちが政権を選んでいるという確信はありません。そのため習近平国家主席は、大虎でも小虎でも、腐敗したものは全て打倒すると言って、国民人気を得ようとしています。権力に関係のある者を懲らしめれば人気が出るだろうという発想です。

 また中国共産党は、自分たちが日本軍をたたきつぶしたと主張しています。日本軍をたたきつぶしたのは蒋介石です。

 元中華人民共和国駐箚特命全権大使の丹羽宇一郎氏は、習近平氏の一番の右腕である王岐山氏に選挙を勧めたことがあるそうです。王氏は中央規律検査委員会書記を歴任し、反腐敗運動を展開した人物です。王氏が言うには、たかだかアメリカ程度の3億人しかいない小さな国でも、大統領を選ぶのに1年半もかかっています。中国は14億人の人口を抱えているのだから、選挙をすれば10年はかかるでしょう。選挙をしているうちに時代が変わってしまうから、選挙なんてできないというのです。


●リコノミクスは消えた


 さらに中国は経済でも問題を抱えています。リーマンショック後、4兆元の経済対策を取ると発表したことで、世界中が驚きました。日本円に換算すると約50兆円です。その7割は地方政府が担当することになりました。その結果、地方政府は成長第一を掲げ、過剰設備、過剰生産、過剰債務に陥っています。身動きが取れない状況です。

 これを処理することが、習主席の打ち出した「新常態」の一つの狙いです。これは、2013年の第18期中国共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)において、李克強首相が掲げた原則とは食い違うものでした。李首相は経済学博士で、非常に経済に精通している人物です。3中全会で李首相は、今後の中国は、市場に資源配分の決定的な役割を担わせるしかないと主張していました。

 ところが、習主席は李首相を好ましく思っていません。たしかに正論かもしれないが、それで政治は動かないという立場なのです。そこで成長率を引き上げるため、習主席は公共投資を増やし、国有企業に大量の補助金を出しました。地方は鉄道や道路など、公共事業を推進して...

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