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日本の景気は中長期的に見るとかなり危険な状況

2018年激動の世界と日本(1)激変する世界を展望する

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
2018年はアメリカ、ヨーロッパ、そして東アジアで、大激動の年になるだろうと、公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏は予測する。ドナルド・トランプ大統領の政策、ブレグジットを含めたヨーロッパの状況、中国の台頭と北朝鮮問題、そして日本の現状について、島田氏が解説する。(2018年1月16日開催島田塾会長講演「激動の世界と日本」より、全14話中第1話)
≪全文≫

●2017年は、トランプ旋風が吹き荒れた


 2016年ごろから世界は大激変、大激動に見舞われています。何が起きているのかというぐらい、変なことも起きています。皆さんと一緒に、しっかり学んでいきましょう。

 まず2017年は、トランプ旋風が吹き荒れました。ドナルド・トランプ氏が、世界中に問題をまき散らしてきたのです。彼が大統領に就任した時、私は大変なことになるかもしれないと、直感しました。「アメリカファースト」のようなことはどこの国でも言いますが、彼は反国際協調を掲げ、反イスラムを掲げ、しかも暴言がひど過ぎます。

 日本については、安保ただ乗りだの、不公正貿易だの、TPPを即座に破棄するだの、とんでもないことを言っています。アメリカ依存100パーセントで来た日本は、もしトランプ大統領が本当にそんな人間だったら、アメリカ依存を考え直さなければならないでしょう。それほど、彼の大統領就任は日本にとっても重大なことでした。

 2017年4月には、トランプ大統領の政策の全貌がおおよそ分かるだろうということで、島田塾の方とともに、アメリカを訪ね、民主党から共和党まで、シンクタンクや主要な論客にかなり綿密に話を聞いてきました。日本はトランプ大統領と手を組んでいけるのか、アメリカの人たちと議論して、情報を集めたのです。私の結論は、大丈夫だということでした。

 なぜなら、実はトランプ大統領はそれほどの人物ではないと分かったからです。発言もバラバラだし、やると言ったことはほとんど実現できていません。この程度なら、日本も渡り合えるのではないかという結論に達しました。そこで、大統領就任から1年たった現在、この間に何が起きたのかを皆さんとしっかりフォローして、その意味を理解してみたいと思います。


●ヨーロッパの中心が見えなくなっている


 第2に、2016年6月に起きたブレグジット(BREXIT)という驚くべき出来事がありました。2017年3月29日には、テリーザ・メイ政権が、EUからの離脱をEU委員会に正式に申告しています。ですから、そこから2年後の2019年3月29日には、イギリスは本当にEUから離脱しなくてはならなくなったのです。

 しかしEU離脱の交渉過程は、新聞を読んでも、ニュースを聞いても、何が起きているのかよく分からないところがあります。今回の私の解説で、その過程が完璧に分かるようになります。しかし、分かってしま...
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