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アメリカの北朝鮮攻撃の可能性は?

2018年激動の世界と日本(13)北朝鮮有事の可能性

島田晴雄
公立大学法人首都大学東京 理事長
情報・テキスト
北朝鮮は核ミサイル開発を進めてきたが、その背景にはアメリカの北朝鮮政策の誤りがあった。公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、アメリカの北朝鮮外交を振り返り、アメリカの北朝鮮攻撃の可能性について解説する。(2018年1月16日開催島田塾会長講演「激動の世界と日本」より、全14話中第13話)
≪全文≫

●北朝鮮を誤解させたのは、アメリカの外交政策だ


 北朝鮮を誤解させたのは、アメリカの外交政策です。北朝鮮がNPT(核不拡散条約)から離脱し、勝手に核開発を再開させた際、当時のビル・クリントン大統領が対応を誤りました。

 クリントン大統領は最初、北朝鮮が言うことを聞かないなら、地上軍を編成して、韓国の駐留軍を倍増し、地上戦を行うつもりでした。しかし、韓国国防省かアメリカの研究機関かよく分かりませんが、地上戦では100万人の韓国人死者が出るだろうと警告されます。クリントン大統領は尻込みをして、北朝鮮に対して譲歩しました。核爆弾が製造可能な黒鉛炉ではなく、軽水炉を導入しろと言って、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)を設立したのです。

 ところが、いつの間にか北朝鮮は核凍結を解除して、核施設を再稼働しています。KEDOの枠組みが崩壊したということです。ミサイル開発も再開されました。クリントン大統領はここで手を打つべきでしたが、北朝鮮に対して強く出ることができなかったのです。

 ジミー・カーター元大統領が特使として北朝鮮に派遣されたのですが、かえって金日成氏にうまく話を持っていかれました。金日成氏はやはり英雄です。スターリンや金氏のような人物にはものすごい迫力があり、カーター氏では相手にならなかったそうです。

 結局、2003年から北朝鮮とアメリカ、韓国その他の国々を含めて、6カ国協議が開催されることになりました。しかしこれは時間稼ぎにすぎず、何の成果も出ません。拉致被害者も帰ってきませんでした。食い逃げ外交といわれています。ジョージ・W・ブッシュ大統領は、リビアとイラクと並んで北朝鮮を悪の枢軸だと名指しましたが、結局何もできませんでした。中東問題でそれどころではなかったからです。

 バラク・オバマ大統領に至っては、戦略的忍耐(strategic patience)と言い出す始末です。つまり、我慢に我慢を重ねて、結局は何もしないのです。北朝鮮はきっとこう思ったでしょう。「アメリカは腰抜けだから、何もできない。勇気もないし、度胸もない」と。ちょうど戦前の日本がそうでした。「ジャズを聞いてダンスしているようなアメリカに、神の軍隊である日本軍と戦えるはずがない」と本気で言っていました。ですから、日本は北朝鮮のことを笑えないかもしれません。80年前の日本と同じなのです。


●トランプ大統領は軍事攻撃も辞さないという構えだ


 ところが、2016年秋ごろからアメリカの様子が変わりました。北朝鮮がアメリカの東海岸に届くミサイルを開発中だということが分かり、米軍が動き始めたのです。16年10月にネバダ州で核爆弾投下実験を行い、それを公表しています。普通は公表しないものです。さらに16年から17年にかけて、ミニットマンという大陸間弾道ミサイルを5回以上も発射しています。

 そこへドナルド・トランプ大統領が就任しました。北朝鮮がグアム島を攻撃する可能性があると明らかになったとき、トランプ大統領はTwitterでこうした意味の発言をしています。英語ですが、「お前ら、世界が見たこともないような炎と怒りに包むぞ」。品の悪い言葉です。さらに2017年9月19日の国連演説では、もしアメリカと同盟国を守る必要に迫られれば、北朝鮮を完全に破壊する以外に選択肢はないと言っています。

 つまり、トランプ大統領は「Every option is on a table(全ての選択肢を考慮する)」、軍事攻撃も辞さないという構えなのです。国防長官のジェームズ・マティス氏も、普段は常識人で立派な人ですが、やはり軍人ですから、いざというときには動くでしょう。

 北朝鮮もさすがに態度を軟化させたかに見えました。2017年9月以来、ミサイルを発射しなくなったのです。しかし、これはつかの間、様子を見ていただけでした。とうとう11月末には再びミサイルを発射し、核ミサイルの完成を宣言します。その後は、平昌冬季五輪に音楽団を派遣するという話になっています。

 いずれにせよ、もし本当にアメリカに届き、ちゃんと機能する核ミサイルが開発されたとすれば、アメリカはもう手が出せなくなります。アメリカが手を出せば、金正恩氏も死ぬ気で打ち返すでしょう。世界中に核が拡散し、歯止めがかからなくなってしまいます。どこかで阻止しなければなりません。


●金正恩氏を暗殺すれば、北朝鮮が崩壊する


 金正恩氏が態度を変えないのだとすれば、やはり暗殺も考えなければならないかもしれません。一時、斬首作戦が立てられたこともありました。米韓共同演習でも訓練されていますが、アメリカ軍にはF‐15という名機があります。F‐16やF‐22、F‐35も開発されました。空飛ぶ怪鳥と呼ばれる、B‐1もあります。映画『シン・ゴジラ』でゴジラを攻撃するために用いられた、B‐2という飛行機もあります。これは核ミサイル用で、巨大です...
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