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アメリカの北朝鮮攻撃の可能性は?

2018年激動の世界と日本(13)北朝鮮有事の可能性

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
概要・テキスト
北朝鮮は核ミサイル開発を進めてきたが、その背景にはアメリカの北朝鮮政策の誤りがあった。公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が、アメリカの北朝鮮外交を振り返り、アメリカの北朝鮮攻撃の可能性について解説する。(2018年1月16日開催島田塾会長講演「激動の世界と日本」より、全14話中第13話)
時間:08:54
収録日:2018/01/16
追加日:2018/04/22
カテゴリー:
≪全文≫

●北朝鮮を誤解させたのは、アメリカの外交政策だ


 北朝鮮を誤解させたのは、アメリカの外交政策です。北朝鮮がNPT(核不拡散条約)から離脱し、勝手に核開発を再開させた際、当時のビル・クリントン大統領が対応を誤りました。

 クリントン大統領は最初、北朝鮮が言うことを聞かないなら、地上軍を編成して、韓国の駐留軍を倍増し、地上戦を行うつもりでした。しかし、韓国国防省かアメリカの研究機関かよく分かりませんが、地上戦では100万人の韓国人死者が出るだろうと警告されます。クリントン大統領は尻込みをして、北朝鮮に対して譲歩しました。核爆弾が製造可能な黒鉛炉ではなく、軽水炉を導入しろと言って、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)を設立したのです。

 ところが、いつの間にか北朝鮮は核凍結を解除して、核施設を再稼働しています。KEDOの枠組みが崩壊したということです。ミサイル開発も再開されました。クリントン大統領はここで手を打つべきでしたが、北朝鮮に対して強く出ることができなかったのです。

 ジミー・カーター元大統領が特使として北朝鮮に派遣されたのですが、かえって金日成氏にうまく話を持っていかれました。金日成氏はやはり英雄です。スターリンや金氏のような人物にはものすごい迫力があり、カーター氏では相手にならなかったそうです。

 結局、2003年から北朝鮮とアメリカ、韓国その他の国々を含めて、6カ国協議が開催されることになりました。しかしこれは時間稼ぎにすぎず、何の成果も出ません。拉致被害者も帰ってきませんでした。食い逃げ外交といわれています。ジョージ・W・ブッシュ大統領は、リビアとイラクと並んで北朝鮮を悪の枢軸だと名指しましたが、結局何もできませんでした。中東問題でそれどころではなかったからです。

 バラク・オバマ大統領に至っては、戦略的忍耐(strategic patience)と言い出す始末です。つまり、我慢に我慢を重ねて、結局は何もしないのです。北朝鮮はきっとこう思ったでしょう。「アメリカは腰抜けだから、何もできない。勇気もないし、度胸もない」と。ちょうど戦前の日本がそうでした。「ジャズを聞いてダンスしているようなアメリカに、神の軍隊である日本軍と戦えるはずがない」と本気で言っていました。ですから、日本は北朝鮮のことを笑えないかもしれません。80年前の日本と同じなのです。


●トランプ大統領は軍事...

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