●トランプ大統領の最大の問題はロシアゲートだ
ドナルド・トランプ大統領の最大の問題はロシアゲートです。さまざまな報道が出ていますが、全貌はなかなか分かりません。まず明らかなことは、ロシアの政府関係者がサイバー攻撃を行ったということです。
民主党の全国本部にサイバー侵入をして、外へ出るはずのないデータを引っ張り出してきました。そしてそれをアメリカ人の名前で、ウィキリークスにどんどん流出させたのです。ヒラリー・クリントン氏はとんでもない女で、うそつきで、国益に反して泥棒をしている、などといったことです。アメリカの大衆は新聞も読まなければ、テレビも見ません。皆ネットを見ているだけですから、ウィキリークスにそういう情報が流れると、かなり流布してしまいます。
大統領選の選挙結果を見てみると、総投票数ではクリントン氏の方がトランプ氏よりも290万票多く獲得していたことが分かりました。しかし選挙人の獲得数では、トランプ氏が上手く中西部を固めたため、トランプ氏が304人、クリントン氏が227人という結果になりました。これは私の判断ですが、ウィキリークスでこうしたフェイクが流れたおかげで、おそらく少なくとも100万人はトランプ氏に投票したのではないでしょうか。
●アメリカの選挙制度は、いまだほろ馬車時代のもの
アメリカの選挙制度は、いまだほろ馬車時代のものをそのまま使っています。州の選挙人を選んで、その選挙人に再び投票させるのです。日本では投開票が即日、遅れたとしても明け方には分かります。アメリカはあれほどITが進んでいるのに、いまだ昔の制度のままなのです。
つまり、電話もない時代であれば、一人ひとりの投票数を数えていれば、時間がかかりますし、それを伝えるのも不可能です。そこで、州ごとに選挙人を決めるための投票を行い、過半数を取った政党が選挙人を総取りできます。例えば、ニューメキシコからカリフォルニアに伝えようと思うと、当時は1日がかりで行かなければなりませんでしたが、選挙人の獲得数だけなら電報を打つことができます。つまりジョージ・ワシントン時代の制度なのです。変えてもいい頃合いではないかと思います。
スイングステートといって、人口が多く選挙人をたくさん持っている州がありますが、そうした州ではクリントン氏はたった7万票しか負けていません。しかし、選挙人の獲得数で...