●「独立記念日演説」への三つの問題提起
よろしくお願いします。米国安全保障企画の東秀敏と申します。本日は、2020年度7月4日に行われた「独立記念日演説」を説明したいと思います。特に、「第二次米国革命」という視点と、トランプ大統領が狙う再選への道にどうつながるのかに関して話していきたいと思います。そのために、まず三つの問題提起をします。
「トランプ大統領の2020年度の独立記念日演説の意義とは何か?」
「トランプ大統領のメッセージとは何か?」
「日本に対する含蓄は何か?」
これらの答えが出るよう説明していこうと思います。
まず、要旨ですが、2020年度独立記念日演説がラシュモア山で行われたことは、米国の孤立主義的方向転換を象徴しています。演説の内容も、かなり抽象的な「米国第一主義」に固執し、ほぼ内政のみを語る内容でした。
演説の核心は、トランプ陣営の採用している「カオスから生まれる秩序」という戦略が見事に披露されたことにあります。特に演説の論理展開自体が、「カオスから生まれる秩序」にのっとっていることにご注目ください。
トランプ氏のメッセージは何かというと、「第二次米国革命」を実現する意思を表明したということです。日本に対してどういう意味があるのかというと、米国の本格的な孤立主義への転換に備えなければいけないということです。
このシリーズでは、以下のポイントに即して説明していきます。まずラシュモア山を選んだ意義です。次に、主要メディアの偏向報道を見ていきます。そして、独立記念日演説の核心に迫りたいと思います。そして、第二次米国革命への舵取りがどう行われたのか、さらに民主党の対応、日本への含蓄と進めます。
●ラシュモア山の持つ歴史的意味合い
まず、ラシュモア山を選んだ意義をお話ししましょう。ラシュモア山というのは、アメリカの観光ガイドブックに載っている山で、4人の有名な大統領の彫刻があります。ラシュモア山のあるエリアはサウスダコタ州というアメリカ中西部の田舎にあるのですが、その地域を「ブラックヒルズ(黒い丘)」と呼びますが、ここは「西漸運動」の栄光と悲劇を同時に内包する、米国の矛盾の象徴です。
元来、イン...
(ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、
セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーン)
の彫像があるラシュモア山