ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ハーディングとトランプがつくり出したのは別のアメリカ
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(5)新たなスタイルの政治家
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
ハーディングの特異性はいくつかの特徴によって語られる。後ろ盾を持たないことをよく理解していたため、エリート内でも対立を避け、共和党の重鎮からの信頼を勝ち取った。また、ビジネスの経験や縁故主義によって強く結束したエリートとの協力関係によって、着実に大統領として結果を出した。外交に関しても、常識にとらわれず新たな敵を見出して徹底的に対策を取っていった。(全6話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分20秒
収録日:2020年6月11日
追加日:2020年9月17日
≪全文≫

●雄弁家であり敵を作らないという新たなスタイルの政治家


―― しかも(ハーディングは)雄弁家だったと。

東 そうです。

―― 自分の言葉で語れるという武器を、最大限生かすわけですよね。

東 そうですね。実際に今でもYouTubeなどにハーディングの演説が残っていますが、彼の演説の中で用いられている英語は、一般大衆の英語なのですよ。

―― なるほど。インテリの英語じゃないのですね。

東 品のある英語ではありません。当時の、同じ共和党のセオドア・ルーズベルトのスピーチも残っていますが、彼は東部のWASPの貴族的な英語を話しています。イギリス英語に聞こえるのですよ。

 しかし、ハーディングの英語は、普通のアメリカ人の英語です。今でも通用する程度の英語なのです。あとは韻を踏むのが非常にうまくて、アメリカ第一主義やアメリカニズムを、深い哲学で説明するのではなく、比喩やさまざまなものを用いて、韻を踏んだ、覚えやすい形で説明したのです。

―― 比喩を使って、韻を踏むわけですね。

東 その雄弁術がラジオで流れると、人を惹きつけます。

―― なるほど。大学時代から雄弁家として有名だったわけですよね。

東 そうなのです。

―― しかも敵を作らないと。

東 敵を作らない。ここがすごい。

―― ここがすごいですね。やはりこれは事業に携わった人の発想ですよね。

東 そうですね。彼はたぶん自分の長所、短所を分かっていたと思います。彼の短所はエスタブリッシュメントの地盤、基盤がないのです。また看板もない。それを逆手にとって、地元の人脈、地元主義を前面に押し出しました。

 そして、国政に乗り出した後は、地元以外に基盤がないので、敵を作らずに政界のドンから自分を認めてもらうように仕向けていったと思います。そうした姿勢が功を奏して、1920年の大統領戦には共和党候補として選出されたのです。


●ビジネスの経験や縁故主義を生かして結果を確実に出した大統領


―― 加えて、自分でビジネスに取り組み、新聞社という一つの事業体を経営していたために、経済をよく理解していました。

東 はい、分かっています。

―― 減税して、富裕層を優遇しながら、結果として失業率は半分になる。さらに、260億ドルあった負債も、全て返済しています。こうしたところからも、経済政策を肌感で分かっていたことがうかがえますね。
...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
老子の神髄(5)玄人と小国寡民
したたかで超越的な知恵…見えないものを見ようとする知的好奇心
田口佳史
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(2)三大要素は「皇帝」「都市」「漢字」
中国皇帝の実像は都市ネットワークを握る「最大の資本家」だった
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
ウェルビーイングを高めるDE&I(6)エクイティ実現と特権性の理解:前編
改札、公衆トイレ、在宅勤務…構造的格差とエクイティの意味
青島未佳
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
メンタルヘルスの現在地とこれから(2)職場のコミュニケーション
昭和の常識は非常識…令和の世ではマイクロアグレッション
斎藤環