“アメリカとは何か”~米国論再考Vol.2
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
歴代大統領の外交方針とは異なるトランプ的取引主義
“アメリカとは何か”~米国論再考Vol.2(3)アメリカ外交の4パターン
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
アメリカ外交は、歴代大統領の外交方針から4つのパターンに分類することができる。外国に対する姿勢と関心度という2つの軸によって、これまでの大統領の外交がそのいずれかに当てはまるのだが、トランプ政権の外交は、相手国によって変わる、異色のものである。日本が真の日米友好を説くならば、フロンティア開拓時代からのアメリカ特有の外交の考え方を理解し、理解を深めていく必要がある。(全4話中第3話)
時間:11分36秒
収録日:2020年6月11日
追加日:2020年11月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカ外交は4パターンに分類できる


 次に、アメリカ外交の4つのベクトルについて説明します。まず縦の軸は、外国に対する姿勢を示しています。上の極は介入で、もう一方の極には孤立があります。横の軸は、外国に対する関心を示しています。左の極は、外国の情勢とかに関して無関心であることを示し、もう一方の極には教化があります。

 この縦横軸で考えると、歴代大統領を4パターンに分類することができます。左上のハミルトン的自由貿易主義は、介入はするものの、相手の文化は変えようとしないという方針です。経済関係を組めるのであれば、相手の文化はそのままにしておくという、どちらかというと重商主義的な思想です。

 左下には、ジャクソン的孤立主義があります。これは、外国のことにまったく関心がなく、孤立主義を唱えるものの、気に食わない相手がいれば、徹底的に攻撃するというものです。西部開拓のカウボーイのようなロジックなのです。

 次に右下には、ジェファソン的非介入主義があります。ジャクソン的孤立主義と似ているように思えますが、非介入と孤立は本質的に異なります。孤立は完全に外国のことはどうでも良いという無知をさらけ出していますが、非介入の場合は、外国のことを気にしながらも、外国の前に米国国内の情勢に対して注意を払うべきだという思想です。そのため、外国の情勢には非常に関心を持っていて、必要なときには教化したいと考えているのです。

 最後に右上には、ウィルソン的グローバル主義があります。これは介入と教化を組み合わせたもので、各国に対して積極的に関わっていく、最も拡張主義の強い思想です。


●アメリカ歴代大統領の外交方針の分類


 この4つの方針を歴代大統領に当てはめると、まずハーディングはかなりジャクソンに近いと思います。外国に対して無関心で、孤立主義を取り、必要な外交は全てディールで済ますというミニマリストです。

 セオドア・ルーズベルトは、どちらかというと相手の文化などをかなり尊重するタイプでした。実際に日本の文化を尊重していました。彼は、柔道に巡りあってから、自分でホワイトハウスに柔道の道場をつくったほど、日本に対する敬意を持っていました。しかし、棍棒外交という言葉が示すように、介入は行った人でした。その意味では、ハーディングとは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
『「甘え」の構造』と現代日本(2)日本人の自責意識と自由の限界
「Thank you」か「I am sorry」か…日本人の癖とは?
與那覇潤
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生