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アントレプレナーシップはアメリカ精神そのもの

“アメリカとは何か”~米国論再考Vol.2(4)深掘り編:アメリカ精神と今後

東秀敏
米国安全保障企画研究員
概要・テキスト
東秀敏氏によれば、アメリカの外交方針は短期的な視点で決定されているために、転換のペースが早い。これに対応するためには、歴史感覚を学ぶことやアメリカ国民との接触の中で知識を蓄えることが必要となる。本講義終了後の質疑応答で米国論を深掘りする。(全4話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:09:22
収録日:2020/06/11
追加日:2020/12/05
カテゴリー:
≪全文≫

●マハンのシーパワー理論が生み出された背景にルーズベルトとの師弟関係


―― 新興国の中でもメキシコの扱いは全く異なりますよね。

東 そうですね。

―― メキシコをどう見ていくか。当時のメキシコは脅威だったのですよね。

東 脅威でした。現在のメキシコは、麻薬ギャングなどで荒れているように見えますが、歴史的に見ても教育水準が高い国でした。当時のアメリカは教育インフラもあまり整っていなかったので、かなり脅威だったと思います。

―― その点で他の国とは異なりますよね。後はジャクソンも重要ですね。彼は謀略の限りを尽くしますね。メキシコとの戦争によってカリフォルニアを得ると、次は太平洋を目指すという流れです。

 他には、以前はマハンの位置付けがよく分かりませんでした。マハンとセオドア・ルーズベルトの協力関係、そしてマッキンリーという気の良いおじさんがいました。ここでフィリピンとハワイを得るなど、帝国主義としてのアメリカに転換しています。

東 そうですね。

―― 実際にそれを指導したのがセオドア・ルーズベルトなのですね。

東 ここで重要なのは、セオドア・ルーズベルトが巨大な財閥利権を後ろ盾として持っていたという点です。マハンのシーパワー理論が生み出された背景には、セオドア・ルーズベルトとの師弟関係があったのです。彼は長年マハンのメンターを務めていました。一説では、マハンのシーパワー理論を実際に書いたのはルーズベルトだといわれています。それほど、ルーズベルトは海軍戦略への造詣が深い人でした。ハーバード大学の卒業論文も米国の海戦史をテーマとしており、海軍の歴史に詳しかったのです。

―― ルーズベルトとマハンの師弟関係はどこで築かれたのでしょうか。ハーバード大学ですか。

東 いえ、海軍です。海軍は造船のために莫大な費用を必要とするので、後ろに財閥がつくのです。

―― なるほど、財閥の支持が必須なのですね。

東 そうなのです。マハンは、幕末の頃、長州藩による四国艦隊砲撃事件の際に日本を訪れています。

―― そうなのですか。

東 神戸港に停泊しています。ですので、幕末当時の日本を目にしており、日本の侍の気質などを分かっていたのです。実際に船と船で戦えば、アメリカは敗北するかもしれないという危機感を抱いたのです。


●日本や中国を含む太平洋諸国に対するアメリカの姿...

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