米国史サイクル~歴史の逆襲と2020年代
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アメリカ建国以来初、2つの停滞期が重なる危機の2020年代
米国史サイクル~歴史の逆襲と2020年代(2)2つのサイクルと危機の時代
政治と経済
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
制度サイクルとは異なる社会経済サイクルもアメリカの歴史を理解する上で重要である。社会経済サイクルは50年周期で循環するが、制度サイクル同様、2020年代は停滞期に当たる。中でも特に2020年から25年にかけては、アメリカの歴史上初めて制度サイクルと社会経済サイクルの2つの停滞期が重なるという危機の時代なのである。(全4話中第2話)
時間:7分07秒
収録日:2020年7月29日
追加日:2021年1月27日
≪全文≫

●50年周期で変遷する社会経済サイクル


 次に社会経済サイクルについてお話しします。

 社会経済も、発明なのです。その時代ごとの広大な土地と多民族の統治論理に影響されて常に変遷します。

 アメリカの特徴は、土地利用という発明品です。フロンティア開拓時代は、その広大な農地を急速に開拓して、さまざまな民族を入植させました。インディアンを追い払い、黒人のプランテーションなどを作っていきました。そして、工業化、テクノクラシーの時代になると、工業地帯として、ニューディール時代には公共事業投資のために用いられていきました。

 現在の土地利用に目を転じると、有り余った中西部があります。未開拓のフロンティアです。一度開拓されましたが、完全には開拓されなかった土地です。ここにさまざまなテクノロジー系のスタートアップを基盤とする産業エリアがあります。

 例えばテキサス州には、オースティンという都市があります。私も昔住んでいました。ここは「第二のシリコンバレー」と呼ばれ、現在急速に成長しています。昔のオースティンには、農場しかなかったのですが、現在ではテクノロジー系のスタートアップが集う、第二のシリコンバレーとして人々の耳目を集めています。カリフォルニア州のシリコンバレーに比べて税金がかなり安く、ビジネスがしやすい環境が整えられているためです。

 話をもとに戻すと、社会経済サイクルは、国内矛盾解決のための応急措置として出現することが多いのです。基本的には制度サイクルを維持するための対策なのです。そして、サイクルの期間は、約50年です。そして、これは戦争に起因するサイクルではありません。戦争に起因する制度サイクルとの違いとして理解していただければと思います。


●5つの社会経済サイクルと米国史の関係


 現在までに5つのサイクルが出現しました。第一社会経済サイクルは、1783年から1828年まで続いたワシントン・サイクルです。第二社会経済サイクルは、1828年から1876年まで続いたジャクソン・サイクルです。第三社会経済サイクルはヘイズ・サイクルで、1876年から1929年まで続きます。第四社会経済サイクルは、1932年から1980年まで続いたルーズベルト・サイクルです。最後に、第五社会経済サイクルはレーガン・サイクルです。これは今の新自由主義的サイクルで、19...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
政治学講座~選挙をどう見るべきか(1)選挙の意味
選挙と政治権力…「選挙に勝つ」とはどういうことか?
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子