イスラム世界におけるコロナ問題
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
コロナ禍のイランに「イスラム革命の輸出」をする余裕はない
イスラム世界におけるコロナ問題(4)イランの取るべき道
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
コロナ禍にあるイラン政府がなすべき優先順位の第一は、経済対策とコロナ対策の両立である。シリアやイエメン、あるいはレバノンにおいて革命防衛隊が展開しているようなイランによる「イスラム革命の輸出」に大きなエネルギーと財政支出をする余裕はない。(全4話中第4話)
時間:5分48秒
収録日:2020年8月4日
追加日:2020年10月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●イランが優先すべきは国民の健康指針の遵守と社会経済活動の両立


 前回までイランについてコロナ、COVID-19の影響についてお話ししてきました。前回少しお話しが足りなかったことが1つあるのですが、ハッサン・ローハニ大統領自身は今、イランのこの感染の現状を「第三段階にある」と明言しているということです。ステップアップしているということなのですね。

 そのように認識して、国民における健康指針の遵守と社会経済活動の両立ということをローハニ大統領は目指すと語っているのは、大変結構なことですし、そうあらねばならないと思いますが、こういうことには大きな条件というものが入ると思います。

 それはもはや、シリアやイエメン、あるいはレバノン等々において革命防衛隊が展開しているようなイランの「イスラム革命の輸出」に大きなエネルギーをかけ、財政支出をするような余裕はないということです。こうしたことを止めない限り、イランにおけるコロナの終焉と経済成長の両立を担保していくような財源、あるいは人的資源というものは、どこにも見当たらない。こういうことについて、もう少しイラン・イスラム共和国は戦略の修正が必要なのではないかと私は思うのであります。


●求められるのは「イスラム革命」の停止と民生、復興への尽力


 2020年5月2日まで1日の感染者数は、イランは802名まで減少しましたが、現実に経済活動を再開したり、モスクへの礼拝を解禁したりしたところ、5月15日にはまたたく間に2102名に増えたということ。これ以降、連日2000名以上の新規感染者を出しているというのが現状です。日別の死者数を見ても5月16日には35人まで減少したのに、6月14日になると107名に達し、それ以来連日100名以上の死者を出しているという現状があります。

 私たち、特に日本人はイランという国との関わりが非常に深いだけに、そしてイランの文明、文化、歴史を深く敬愛する日本人も多いだけに、この私たちから見るとイランの苦境というのはまことに残念です。しかし、人道的見地からイランというものをきちんと理解し、そこに同情するという必要性と感染拡大を招いたイラン政府の責任、それ以上にイスラム革命の輸出という、いまだに古典的なイランのイスラム革命の戦略を引きずっている。これらの間に、当然バランスの取れた解決が求められなければならないのは、言うまでもありません。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(7)ポグロムとホロコースト
歴史の中のユダヤ人大量虐殺…ポグロムとホロコーストの違い
鶴見太郎
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
明治維新から学ぶもの~改革への道(3)明治天皇と五箇条の御誓文
国是として現在も生きる明治天皇「五箇条の御誓文」の影響
島田晴雄
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
吉田松陰の思想(上)松陰像の変遷(1)革命家から改革者へ
徳富蘇峰は吉田松陰を「革命家→改革者」と再定義
中島隆博