米国史サイクル~歴史の逆襲と2020年代
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本にとってアメリカの停滞期は対米ディールのチャンス
米国史サイクル~歴史の逆襲と2020年代(4)日米関係と米国史サイクル
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
日米関係を理解する上で米国史サイクルは非常に重要な示唆を与えてくれる。アメリカの停滞期に日米関係を再構築するチャンスが訪れるが、それに失敗すると転換期のアメリカに見捨てられて、日本は大きな不利益を被る。ハーディング時代、日米関係のリセットに失敗した経験を踏まえて、2020年代の日本は対米ディールに成功できるのだろうか。(全4話中第4話)
時間:7分33秒
収録日:2020年7月29日
追加日:2021年2月10日
≪全文≫

●ハーディング時代、敵対し始めていた日米関係のリセットに失敗


 最後に、日米関係と米国史サイクルに関して見てみましょう。

 日米関係は、これまでお話ししてきた米国史のサイクルの特徴をよく反映しています。アメリカのサイクルの停滞期には、日米関係のリセットのチャンスが到来するのです。

 まず1853年の黒船来航は、フロンティア時代サイクルの末期の出来事でした。黒船来航直後にアメリカでは南北戦争が起こり、約50年間に渡って、アメリカは事実上日本史から姿を消してしまいます。そして、工業化時代サイクルにおいて、アメリカの対日政策の外枠が形成されました。その具体的な例が、フィリピンの植民地化とハワイの併合です。その後、マハンの議論が注目を集めるようになり、もともと大陸国家であったアメリカが、シーパワー、つまり海洋国家へと転換しました。

 その結果、台頭する日本の海軍力と衝突することになりまして、徐々に日米関係の雲行きが怪しくなっていきました。注意しなければならないのは、こうした日米関係の悪化は工業化サイクル時代に起こった現象であり、米国史のサイクルに特有の戦略をアメリカは形成するという点です。

 1920年代の停滞期には、規格外のハーディング時代が到来しました。アメリカファーストを訴えて、初めて当選した大統領です。彼の政権下でワシントン体制が形成されて、対日政策が成熟します。このワシントン体制は、まさにこの工業化時代サイクルの対日政策を象徴するものです。

 このワシントン体制をもって日本の海軍力を制限しようとしましたが、当時のアメリカは日本を仮想敵国No.1として扱っているわけでは必ずしもありませんでした。当時のアメリカは、実は反大英帝国の政策も取っていました。実際に、対イギリスの「レッド計画」という海軍計画がありました。対日計画は「オレンジ計画」と呼ばれます。つまり当時のアジアには、アメリカ、日本、そして大英帝国という3つの海軍勢力があったのです。この時に、日米で手を組んでアジアにおける大英帝国の影響力を排除するという選択肢もあったはずですが、残念ながら当時は米英が組んで日本を封じ込めるという歴史の流れになりました。

 しかし、実は当時、既存の日米関係をリセットするチャンスがあったのです。つまり、フィリピンの植民地化とハ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明

人気の講義ランキングTOP10
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹