テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録
テンミニッツTVは、有識者の生の声を10分間で伝える新しい教養動画メディアです。
すでにご登録済みの方は
このエントリーをはてなブックマークに追加

アメリカ史上80年ごとの制度サイクルを生んだ3つの戦争とは

米国史サイクル~歴史の逆襲と2020年代(1)3つの制度サイクルと戦争

東秀敏
米国安全保障企画研究員
情報・テキスト
米国独立戦争
アメリカは歴史上、約80年ごとに制度サイクルが交代する。第一のサイクルは1787年から1865年までのフロンティア時代制度、第二のサイクルは1865年から1945年までの工業化時代制度、そして第三のサイクルは1945年から今日まで続くテクノクラシー時代制度である。トランプ時代は第三サイクルの停滞期に当たるが、新たな制度の明確なビジョンはまだ見えていない。ここで重要なのは、新たな制度が生まれる際には必ず戦争が起こっているということだ。(全4話中第1話)
時間:08:12
収録日:2020/07/29
追加日:2021/01/20
≪全文≫

●アメリカを歴史的サイクルとして理解する


 米国安全保障企画の東秀敏と申します。本日は「米国史サイクル」というタイトル、サブタイトルとしては、歴史の逆襲と2020年代、そして来る危機という内容で講義を進めていきたいと思います。

 本講義の問題提起は、以下の三つです。1つ目は、トランプ時代は米国史でどのような位置づけが可能か。2つ目は、米国史に特有な歴史のサイクルとは何か。そして3つ目は、歴史サイクルの中で、日米関係をいかに理解するべきか。

 次に、要旨について説明します。停滞期という概念があります。まさにトランプ時代は、停滞期が始まる時期でした。しかし、転換期ではありませんでした。この違いに関しては、あとで詳しく説明します。そして、制度的サイクルと社会経済的サイクルが別々に循環していた時代でした。このサイクルの違いについても、後ほどご説明します。

 また、2020年代は2つのサイクルが交差する10年でした。このサイクルの交差は、新しい時代を生み出す転換期を創出するものです。そして、日米関係は、常に2つのサイクルに振り回されてきました。その中で、常に日本は米国に反発するか、追従するかの2つの選択肢を取り続けてきたのです。

 講義の概要は、以下のように構成されています。まず、トランプ時代の歴史的位置づけについてお話しします。次に、その制度サイクルと社会経済サイクルについて説明します。さらに、1920年代の停滞期の記憶に関しても説明します。その次に、2020年と1920年の共通点を再考します。そして、日米関係と米国史サイクルについて検討します。最後に結論を述べます。


●80年ごとの制度サイクルにおいてトランプ時代は停滞期


 ではトランプ時代の歴史的位置づけについてお話しします。

 トランプ時代は停滞期の始まりであって、転換期ではありません。停滞期の米国では、国内の対立が先鋭化します。また、トランプは症候であり、新時代への明確なアイデアも現在までに打ち出していません。つまり、ゴールを持たない戦略を取っていると、私は理解しています。これはカオスから生まれる秩序(Order out of Chaos)といわれ、ラシュモア演説でも論理展開として披露された戦略です。

 一方で、新時代に対するビジョンの唯一の参考となるものは米国憲法、つまり建国の精神なのです。トランプ時代の着眼点は、その漠然とした米国第一主義vsテクノクラシーという構図にあります。実際にラシュモア演説では、極左文化革命対米国革命という対立構造を披露します。

 次に、制度サイクルに関して説明します。

 まず前提として、米国は発明であり、米国の制度は発明品です。そしてその制度のサイクルの期間は約80年です。その流れに目を移すと、発明から成長、黄金時代、停滞期、戦争、そしてまた発明となっています。重要なのは、新たな制度が生まれる際には、必ず戦争が起こっているということです。つまり戦争が制度サイクルを生み、終わらせているのです。この点は、非常に重要なポイントなのです。

 アメリカの歴史を俯瞰すると、現在までに3つ制度サイクルがありました。まず、1787年から1865年まで続いたフロンティア時代制度があります。次に、第二の制度サイクルは1865年から1945年まで続いた工業化時代制度です。そして、第三の制度は、テクノクラシー時代制度です。このサイクルは1945年から2025年あたりまで続くといわれています。現在のアメリカは、テクノクラシーの時代の末期に当たるのです。各サイクルの最後の10年間は、停滞期になると指摘されています。ですので、現在のアメリカは、テクノクラシー時代の停滞期にあるのです。そして、第四の制度サイクルに今後移っていくというのが、現在の流れなのです。


●アメリカの制度サイクルを生んだ3つの戦争


 この3つのサイクルを生んだ戦争とは何なのでしょうか。

 第一制度サイクルに関しては、米国独立戦争です。独立戦争の結果、フロンティア時代の制度が形成されました。この時代は西部開拓の時代でした。そして、この開拓が完了すると、次に起こったのが南北戦争です。南北戦争の結果、北軍が勝利して奴隷制を終わらせて、北部の社会経済制度が、南部にも浸透しました。ここにきて初めて、米国の完全なる国内統一が達成されたのです。

 この際に、北部と南部両方で工業化が進められました。ロックフェラーのスタンダードオイル社はこの工業化を象徴しています。彼は石油の発掘を全米で成し遂げました。フィラデルフィアやペンシルベニアのなどの...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。