第2次トランプ政権の危険性と本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか
第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話の今回は、トランプ政権が突き進み得る最悪のシナリオと、そのような危機的状況の中で日本が取るべき姿勢について考える。(全8話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分39秒
収録日:2025年4月7日
追加日:2025年6月28日
≪全文≫

●反エリート主義による専門家軽視


―― 今(第8話)は移民のお話でしたけれど、今度はマクロ経済の運営ですね。政策をどう進めていくかという点においては、金融政策を進めていく役目が、アメリカだとFRB(連邦準備制度理事会)ということになりますけれど、そこが大変重要な役割を担うことになります。ここについても独立性の危機ということなのですか。

柿埜 基本的にトランプ政権は、先ほどから文化戦争の文脈でずっとお話をしていますけれど、「われわれはリベラルのエリートたちに騙されて酷い目に遭っている普通の人間なのだ。そういうエリートどもを追い出して私たちの国を取り戻すのだ」という考えでやっているわけです。

 移民とかLGBTとか、なんでもかんでもそうなのですけれど、あるいは「外国のウクライナが、自分たちの支援に乗っかっている」というのもそうなのですが、「そういう奴らにいいようにされてきた」と思っているわけですが、これは思い込みであるわけです。

 「とにかくエリートをやっつけなければいけない」という発想があってそれでやっているものですから、専門家というものを全然信用しないわけです。軍事に関しても、素人を任命するようなことをやっていますが、FRBに関してもやはりそうなのです。

 パウエルFRB議長を任命したのはそもそも第一次トランプ政権だったはずなのですけれど、「専門家がやるのは気に食わないと、私のほうが企業経営を分かっているから、こんな奴らが金融政策を決めるなんて嫌だ」「ドル安にしろ」、あるいは「金利を下げろ」といったことを、トランプは好き放題、選挙中から言っていたわけです。

 そういう発言の通りにパウエル議長がFRBの政策を決めたりしたら、アメリカのインフレは一応落ち着いていますけれど、また跳ね上がる可能性があります。まだそんなに落ち着いていない状態です。しかも、トランプが関税政策とか大量強制送還をやれば上がる可能性が高いわけです。パウエルは変なことはできないと思って、真面目にやっているわけです。

 ところが、トランプが本当にこの調子でずっと圧力をかけ続けると、しかも今までの傾向からして専門家を自分のイエスマンに置き換えていくというやり方でやっていくと、パウエルも2026年(まで)任期ですけれど、任期前に追い出される可能性も否定はできないの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
歴史の探り方、活かし方(3)古書店巡りからネット書店へ
ネット古書店で便利に買える時代…「歴史探索」の意義とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新