第2次トランプ政権の危険性と本質
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的
第2次トランプ政権の危険性と本質(2)トランプ関税のおかしな発想
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
「トランプ関税」といわれる関税政策を積極的に行う第二次トランプ政権だが、この政策によるショックから株価が乱高下している。この政策は二国間の貿易収支を問題視し、それを「損得」で判断してのものだが、そもそもその考え方自体に大きな誤りがある。その考え方は、アダム・スミス以前の重商主義の考え方よりも劣るというのだが……。今回は「トランプ関税」の基本的な思想について、その詳細と経済学からみた問題点をわかりやすく解説する。(全8話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分33秒
収録日:2025年4月7日
追加日:2025年5月17日
≪全文≫

●トランプ政権とバイデン政権の「政権初期の株価比較」


―― 次にグラフを置いていただいておりまして、「第二次トランプ政権の異変」ということですけれど、これは何の図になるのでしょうか。

柿埜 これはアメリカの株価が、(トランプが)大統領に就任してからどう推移してきたかということを見ているのです。第一次トランプ政権と第二次トランプ政権の両方と、ついでにバイデン政権も比較のために置いていますけれど、べつに大統領に就任したからといってなにか大きな出来事があったわけではない期間を全部取っているわけです。

 ということは、大統領自身がとてつもなく変なことをしない限りは、普通株価はそんなに変動したりしないはずであるわけです。実際むしろプラスの政策を取ったら、株価が少しずつ上がるぐらいのことがあってもおかしくないわけです。

 こちらを見ていただくと、第一次トランプ政権もバイデン政権もべつに株価はそんなに変なことになってないわけです。どちらかといえば上がっていて、そんなに悪い政策を取っていたわけではなかったのです。

 ところが、第二次(トランプ政権)のほうは、発足した最初の時点ではみんなわりと期待していたのが、「あれ、こんなはずじゃないぞ」といって、トランプ政権が変な政策を打ち出すたびにどんどん下がっていって、2025年4月になって、やるかやらないかがはっきりしなかった関税を全部本当にやる。しかもとんでもない規模でやるということが分かって暴落したところで、それを示しているわけです。

―― これは、一般にはその4月の関税のショックが大きく報じられたところでありますけれど、そこまでもかなりジリジリと落ちているのですね。

柿埜 そうですね。結局、トランプ政権が「脅し」でいっていると思っていた関税が本当に実施されるというのがだんだんと明確になってきました。それから、(不法移民の)大量強制送還とかそういう話も本当にやるらしいということが分かってきたところから、株価が「ちょっとこれは期待外れだ」という反応をかなり神経質に示しているということなのです。


●どうしようもないトランプ関税の計算式


―― それで相互関税ですが、全くよく分からない関税なのですけれど、計算式は、ここに示していただいたような...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(4)トランプ大統領VS.中国
トランプ政権は実は与しやすい?…ディールで「時間稼ぎ」
垂秀夫