ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む
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ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(4)新世界としてのアメリカ
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
およそ100年前のアメリカの大転換は、大英帝国的な国際協調主義を取るウィルソン大統領の姿勢に反発し、ヨーロッパとは異なるアメリカという自己意識を追求する人々に呼応する形で生まれた。この転換は、現代アメリカの姿勢にもつながっている。原敬は私費留学によって、アメリカの重要なハートランドである中西部を観察し、独自のアメリカ観を培っていた。彼を失ったことは、当時の日米関係に大きな影響を与えた。今回より3話にかけて単独講義後の質疑応答編をお届けする。(全6話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11分37秒
収録日:2020年6月11日
追加日:2020年9月10日
≪全文≫

●ヨーロッパとは異なるというアメリカの自己意識


―― ありがとうございました。ウォレン・ハーディングは、暗殺されたなどといわれていますが、在任期間が短かったので、日本ではあまり馴染みがない大統領ですね。しかし、非常に重要な期間なわけですね。

東 非常に重要ですね。

―― 日本としては、日英同盟の破棄や、ワシントン会議、初めての世界的規模での海軍軍縮条約などで外交的に大きく動揺しました。それから何よりも、日本で反米が生まれるきっかけとなった排日移民法のもとをつくった人ですね。

東 そうですね。

―― そのような意味では、非常に重要な人なのですね。

東 そうなのです。

―― 重要なポイントとして、ウッドロー・ウィルソンの国際協調主義、大英帝国のように一つの世界全体を統治する仕組みに対する、アメリカ人の反感があったのでしょうか。

東 そうですね。やはり国際秩序をつくって維持することに、アメリカはまだ慣れていませんでした。この方法は、どちらかというと大英帝国的、帝国主義的なものなので、やはりアメリカ建国のDNAには全く合わず、直感的に何かおかしいという思いが、当時のアメリカ人にはあったのです。その反動として、非常に抽象的で、中身がほとんどないアメリカファーストというスローガンにアメリカ人はつられたのです。

―― そこに熱狂していくわけですよね。

東 そうですね。このスローガンへの熱狂に、反知性主義が組み合わさって、ハーディングの当選に至ったのだと思います。

―― 普通の人の常識からすれば、国際協調主義に対して違和感があったという点が最大のポイントですよね。

東 そうですね。

―― しかも当時は、第一次世界大戦の戦時経済の特需で好況に湧いていたのが、変化してきた時代でした。スペイン風邪の流行で、50万人が亡くなりました。また、12万人弱が第一次世界大戦で戦死しました。さらに、それまでの戦争特需がなくなり、不況が襲いますよね。その結果失業率が上がり、ウォール街でも爆破テロが発生します。第一次世界大戦の結果、アメリカは国際社会のメインメンバーになったものの、その反動が噴出してくる時期ですよね。

東 その通りです。

―― そうした状況の中で、世界全体の問題よりも自分たちの生活を考える、アメリカファーストだというスローガンが受け入れられるわけですね。

東 そうです...

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