ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ハーディング流ディール外交に敗北した日本
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(3)米国第一主義の実践
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
ハーディングは国内政策と外交政策の両面で、大きな改革を行った。国内的には経済自由化を徹底し、非常に早いスピードでの国内経済の回復を達成。また、外交政策に関しては、再度孤立主義を打ち出し日英への圧力を強めた。当時の日本のエリートはこの転換の背景を理解できず、アメリカとの軋轢を深めた。これと似た方針を取るトランプ大統領と日本がうまくつき合っていくためには、ハーディング時代の分析が必要不可欠である。(全6話中第3話)
時間:8分16秒
収録日:2020年6月11日
追加日:2020年8月27日
≪全文≫

●ハーディングの国内政策の光と影


 米国第一主義のハーディングによる実践に関しては、国内と国外の分野にわけられます。国内政策としては、極端な減税と自由放任主義経済を導入し、富裕層を徹底的に優遇しました。260億ドル規模の第一次世界大戦の負債を一気に返済し、失業率を半分に削減しました。同時に、1921年には移民割当法に署名し、とくに東欧系、ロシア系のユダヤ移民を追放する動きに出ました。ハーディングが亡くなった後に、副大統領のクーリッジが大統領になりますが、彼は1924年に排日移民法に署名しました。つまり、この排日移民法につながる法案に、ハーディングは署名したのです。

 加えて、女性セクハラ問題に悩まされました。実際に、大統領任期中にさまざまな女性と関係を持って、隠し子が多くいるという説が今でも根強く存在しています。そして縁故主義がはびこりました。トランプ大統領のロシアゲート以上に問題となったといわれる「ティーポット事件」では、縁故主義によって当時のハーディングの閣僚が石油会社に優遇政策をとってしまいました。これを暴露され、ハーディングは大きな被害を受けました。このように、一連のスキャンダルに常に悩まされるという政権でした。

 外交政策に関しては孤立主義を前面に押し出し、グローバリズムに基づく国際連盟加盟を拒否して、多国間ディール外交でワシントン体制を築き上げました。一方で、過去にとらわれない柔軟な外交方針を取り、もともと敵国だったドイツ、またオーストリア、ハンガリー帝国と単独で国交を回復しました。そして、対独融資を始め、ドイツの負債返済に成功するまで継続しました。ワシントン体制の下では、元同盟国である日本と英国に対して徹底的に圧力をかけ、日英同盟を破壊するまでに至りました。


●ハーディング流ディール外交にうまく対応できなかった日本


 そのハーディング流のディール外交を詳しく見てみたいと思います。特に日本に関連する部分に着目していこうと思います。

 当時はまだ原敬が首相を務めていました。原首相は英米協調主義を取っており、ハーディングの打ち出したディール外交とうまく付き合うはずでした。原敬首相は暗殺されるのですが、後に首相職に就く加藤友三郎がそれを継承し、割合でいうとア...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
国際地域研究へのいざない(1)地域研究の意味とイスラエル研究
なぜ経済学で軽視されてきた「地域研究」が最高の学問なのか
島田晴雄
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
高市政権の進むべき道…可能性と課題(4)外交力と防衛力の強化へ
求められる「能動的サイバー防御」、問われる本物の外交力
島田晴雄
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編(2)『唯信鈔文意』と方便法身
阿弥陀仏は無限の光だ…親鸞の『唯信鈔文意』の教えとは?
賴住光子
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(4)「適用拡大」で貧困老人をなくす
日本の転勤はおかしい…非人間的な制度の最たるものだ
出口治明