対中国戦略・日本の決定的な決断
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
注目すべきは2027年、「建軍100年」の中国から目を離すな
対中国戦略・日本の決定的な決断(6)命運握るインド太平洋地域
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
今後の対中国戦略を米国とともに考える上で、日本にとって重要なのはアジア諸国に対する姿勢である。「インド太平洋地域」と呼ばれるようになったアジアには、その姿勢いかんで米中関係の帰趨を決するような国々が存在する。とりわけ日本にとって重要なのは、今後の朝鮮半島の動向である。そして、注目すべきは、中国人民解放軍の「建軍100年」にあたる2027年だ。その年、何が起きるのか。対中国包囲網が世界中で広まる中、長期的視点で中国を見ることも大事だと語り、中西氏は講義を締めくくった。(全6話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分44秒
収録日:2021年4月23日
追加日:2021年6月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●米日・中の鍵を握るインド太平洋地域の諸国


―― 今後の対中国戦略を考える上で、日本にとって重要なのはアジア戦略というべきか、アジア諸国に対して今後どのように振舞っていくかというところになるかと思います。その点について、いかがお考えでしょうか。

中西 おっしゃる通りですね。今回の共同声明で、米中対立ほど明確ではありませんが、日米対中国という構図が非常にはっきり浮かび上がってきたわけです。この構図や対峙、安全保障上の組み上がり方、こうした秩序が決定的に動くのは、やはりアジア、あるいは東アジアです。現代の戦略的用語でいえば、「インド太平洋地域」ということになります。

 それらの国々が米(アメリカ)につくか、中(中国)につくか。あるいは日米に傾くか、中国に傾くか。そのいずれかによって、その興廃が決まるというような、戦略的に非常に重要な国々がインド太平洋地域にはあります。

 一つは、先ほど出てきた東南アジア地域。ASEAN加盟の諸国がどちらにつくか。端的にいえばそういうことで、それによって、アメリカが有利になるか、中国がなんとかしのいで、数年~10年後の力関係の展開、あるいは転換に向かい、アメリカをしのぐ超大国化につなげていけるのか。この勝負は、ASEAN諸国がどう動くかにかかっています。

 それから日本に関していえば、朝鮮半島です。日米が有利に中国の抑止につなげられるかどうかは韓国の動向次第です。韓国が米韓同盟から距離を置いたり、同盟を清算したりして、中国に傾いていくようなことになれば、もう日本周辺では「勝負あった」というほど、大きな戦略的意味を持ちます。

―― そこで「勝負あった」ということですか。

中西 日本周辺では「勝負あった」と言ってもいいでしょう。それほど大きいですね。

―― なるほど。


●三つの色分けを持つアジアの対米中姿勢


中西 韓国がもしも米韓同盟に興味をなくした場合、おそらくは北朝鮮と急速に接近するでしょう。そうなると両者は等しく、あるいは韓国はより強く中国の影響下に入ることになるかもしれませんし、朝鮮半島の統一も進むかもしれません。その場合、日本は非常に危うい中立的立場に転換しなくてはいけません。

―― なるほど。

中西 アメリカから距離を置くという話になって、日本がたった一人で裸になってしまう。そういう悪夢のようなことになりかねません...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助

人気の講義ランキングTOP10
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(2)戦争省とチャーリー・カーク暗殺事件
チャーリー・カーク暗殺事件とは?その真相と政権への影響
東秀敏
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性
なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法
水野道訓
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保