対中国戦略・日本の決定的な決断
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
「台湾危機は必ず日本を巻き込む」――日米同盟を抑止力に
第2話へ進む
対中国の「ルビコン川を渡った」ことを示した日米首脳会談
対中国戦略・日本の決定的な決断(1)日米首脳会談の評価
政治と経済
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
2021年4月17日、菅総理大臣とバイデン大統領の間で初めての日米首脳会談が行われ、共同声明が発表された。そこでの日本の評価は国内で流布しているものとは異なり、「よくここまで日本政府は踏み込んだものだ」と中西氏は語る。その背景にあるのは首脳会談の1カ月ほど前に行われた「日米2プラス2」(日米安全保障協議委員会)だ。すでに首脳会談の前にはっきりとした歴史的選択をしていたということで、日本はついに対中国の「ルビコン川を渡った」という評価もある。(全6話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分40秒
収録日:2021年4月23日
追加日:2021年5月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●日米首脳会談、日本は米側の強い要求を押し戻したのか


―― 皆さま、こんにちは。本日は中西輝政先生に、バイデン政権誕生を受けての米中関係、さらに日本の今後のあり方について、お話をうかがってまいります。中西先生、どうぞよろしくお願いいたします。

中西 よろしくお願いします。

―― まず、さっそく4月16日に行われた日米首脳会談のことでお聞きしたく思います。一部の論者からは「アメリカが日本にやや強めの要求や要望をしてきたのに対して、日本側からの押し戻しが見られた」という評価が出ています。また、今回は台湾問題が明記されたことで、日本としてはかなり強い打ち出しをしたのではないかという意見もあります。

 中西先生は、今回の日米首脳会談について、どのように見ていらっしゃいますでしょうか。

中西 はい。まず、今おっしゃったように、日米首脳会談の中身については、アメリカがグイグイ押してきた。日本はそれをしのいで、なんとか妥協できる落としどころを模索し、かろうじてアメリカのペースを少し和らげることに成功した。このような捉え方が日本国内で流布していますが、私はこれは違うのではないかと思います。

―― そこは違うということですね。

中西 違う。むしろ間違いといってもいいでしょうか。あるいは日本政府が、外務省や官邸などを中心に、そういう画像やイメージを日本国内向けにやや意識的に流布した、あるいはふりまいた可能性は、確かに大いにあります。報道各紙を見てもそうですが、日米両首脳が合意した共同声明の中身を考えると、これはむしろ日本が相当踏み込んでいます。

―― 日本が踏み込んでいるということなのですね。

中西 日本が踏み込んでいる。かつてないほど日米が歩調を同じくしているし、特に対中国という点では、はっきりとした線を出した。日本側にためらいがあったかなかったかは分かりませんが、中身を見ると、よくここまで日本政府は踏み込んだものだというのが私の感想です。


●「日米2プラス2」より後退できない両国首脳


中西 後で話題に出るかもしれませんが、会談の1カ月ほど前に「日米2プラス2」(日米安全保障協議委員会)が行われました。外務・防衛二人ずつの閣僚が出席するもので、アメリカからアントニー・ブリンケン国務長官、ロイド・オースティン国防長官を招いて、3月16日に東京で行われています。

 この時...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也

人気の講義ランキングTOP10
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(4)足場かけと遊びの活用
気づきを与えるカードゲームの魔法、大事なのは足場かけ
今井むつみ
クーデターの条件~台湾を事例に考える(3)クーデターの具体的手段と外的要因
2・26事件の失敗に学ぶ!? クーデターを成功させるためには
上杉勇司
未来を知るための宇宙開発の歴史(12)宇宙推進技術はどこまで進化したか
水平離着陸で宇宙へ、近未来のロケット像と進む技術開発
川口淳一郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
編集部ラジオ2025(23)垂秀夫元中国大使が語る習近平中国
垂秀夫元中国大使に習近平中国と米中関係の実態を聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本画を知る~その技法と見方(2)余白のあり方
日本画の余白とは、見手が入り込む隙を作ること
川嶋渉
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明