対中国戦略・日本の決定的な決断
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「日本防衛」を誓約したアメリカが懸念する経済安保問題
対中国戦略・日本の決定的な決断(4)対中国包囲網分断の可能性と経済安保
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
今後の中国が「連衡策」を外交戦略の主軸に据えるとすれば、日本が注意すべきなのは、中国相手に目先の利を追い、「抜け駆け」による利益相反者との分断を起こすことだ。先般、中国企業による出資を受け、経済安保問題が浮上した国内大手IT企業の例では、引き続き政府の対応が注目される。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分00秒
収録日:2021年4月23日
追加日:2021年6月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●対中国包囲網を分断する中国の外交戦略


中西 今の対中国包囲網を「合従」だとすれば、「連衡」策としては日米の分断、韓国やASEANを日米から分断していく、NATO諸国の中でドイツと英仏を分断していくなど、いろいろな方法が考えられます。包囲網を構成する各メンバー間の関係を切り離し、分断していくことが、包囲網に対する連衡戦術になります。中国による分断の外交の主たる戦略概念(コンセプト)は、ここに置かれるだろうと私は思います。

 そのとき、日本が注意すべきことは、経済中心の働きかけが日本の経済界に対してなされることです。日米の同盟国や、今対中国包囲網を形作っているとみられる国々の間で、お互いの国益が相反関係になるようなことを仕掛け、その隙間を突いてくるわけです。

 経済的な国益相反としては、例えば「おたくの企業には進出を認める」「そちらはアメリカと緊密に協力しているからダメです」というような経済利益による分断です。

 あるいは価値観に対する攻撃もあります。アメリカや欧米諸国は人権や民主化のようなことをうるさく言ってくるけれど、ASEANの、例えば「タイはそれでいいのですか」、「軍事政権が制裁されると言っていますが、それでいいのですか」と揺さぶりをかけて、アメリカと協力しようとするASEANの国を分断しようとする。あるいは日韓関係であれば、歴史問題を突いてくる。

 日米の関係については、日米同盟における「バードン・シェアリング(負担の分かち合い)」の問題があります。日本は防衛力を強化すると約束しているのに、全然着手しないで、現実的に防衛費を増やさないではないか。それでアメリカはいいのですか。日本はやはりここでも逃げるつもりなのだ、というような世論をアメリカのマスコミに流していく。どこが震源なのか分からない形で評論としてアメリカのメディアに流すような方法もありえます。

 また、地域の国際対立を誘発する。例えばヨーロッパの国々の間にも対立がありますし、オーストラリアとASEANの国々の間にも対立があります。あるいは、アメリカの国内を分断していくという戦略もあり得ると思います。


●日米分断の楔を打ち込まれる可能性がある


中西 事ほどさようにいろいろな形で、アメリカの対中国包囲網を分断するテクニックを、中国は持っているわけです。その意味でいうと、決して中国が不利になっているわけ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(2)良き対話のための「問い方」の技法
良き対話のための「問い方」の技法とは?…ソクラテス流に「YES、NO」で答えさせ、お互いの考えを確認して進む
納富信留
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将