対中国戦略・日本の決定的な決断
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
湾岸戦争以来のアメリカ一国主義時代が終わろうとしている
対中国戦略・日本の決定的な決断(5)アメリカの真の姿
政治と経済
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
バイデン政権の誕生に伴い、親中路線への方向転換があるのではないかといったことなど、日本国内ではさまざまな危惧がささやかれた。なぜ国内世論はしばしばアメリカの出方を間違えてしまうのだろうか。中西氏によれば、バイデン外交はアメリカの「真の姿」を久しぶりによみがえらせたという。その真意は、どこにあるのだろうか。(全6話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分50秒
収録日:2021年4月23日
追加日:2021年6月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本の国内世論はなぜしばしば間違えるのか


―― これまでテンミニッツTVで中西先生にお話しいただいてきた中、少し前の段階では「アメリカは一枚岩ではなく、親中派的な流れもあるので、まだまだどちらに行くか分からない。日本としては、アメリカよりも前に出てはいけない」というお話をいただきました。2020年の講義では、「もうアメリカは “point of no return”を越えた。この動きは変わらないだろう」という分析でした。

 日本国内では、トランプ氏とバイデン氏の大統領戦の期間中、バイデン政権になれば一気に親中路線に振られるのではないかという予測をされる方もいました。ところが、結果を開けてみると、まさに中西先生がおっしゃったように、すでに“point of no return”は越えている。反中の動きは強まることはあっても、弱まっていない状況が見て取れます。そのあたりについて、いかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。

中西 これには日本の国内世論、あるいは日本人の外交を見る目の特色がうかがえます。日本ではしばしば国内政治の文脈とアメリカの国内政治を両重ねにしてみる傾向があります。また、いろいろな国の外交をイデオロギー中心に考えてしまう傾向もあります。これらは、外交的思考が未熟というと語弊がありますが、外交に長い歴史的背景を持たない国にしばしばあることです。

 いろいろな歴史を考えても、明治以来の日本外交は経験豊富だと思いますけれども、外交というものがそれ自体独自の領域で、独自の視点が必要だということを、私はもっと声を大にして言いたいと思います。


●外交と内政は別々の論理で動く


―― それは安全保障ということになるのでしょうか。

中西 いや、そうではありません。外交というのは、内政とはまったく別の論理、別の概念で動くものです。同じ政治家が扱うからといって一緒くたにしていいはずがない。そこが非常に大事なところなのです。

中西 特に日本でよく見られるのは、「バイデンは民主党。民主党はリベラルで左派だ。自分は保守の立場だから、バイデンの外交は非常に危うい。これは問題がたくさん出てくるぞ。日本は困ったことになるぞ」といった思考が割と簡単に出てくるところです。

 あるいは「共和党は保守だから、日本にとっては危険な存在だ。日本の平和主義をぶち壊す存在かもしれない」という発想もある。日本国内の右と左が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治