●世界の中で孤立しつつある中国の窮状
―― 今回の首脳会談ないし3月の「2プラス2」において、日本は覚悟を固めて旗幟を鮮明にしたということになりますと、その後の展開が気になります。これはシミュレーション的になるかもしれませんが、中国側はどういう動きをしてくるのか、あるいは中国側からみると、どういう手を打つのが一番効果的だと思われますか。
中西 日米の今回の首脳会談だけではなく、もう少しグローバルに世界中を見渡してみると、中国外交は今、大変不利な孤立状態に陥ろうとしていると読み取れると思います。おそらく中国当局あるいは習近平指導部は、そのことについてうすうすか、はっきりかは分かりませんが、気がつき始めていると思うのです。
日本ではあまり報道されませんけれども、2020年という年は欧米諸国、特にヨーロッパ諸国が決定的に反中国や中国脅威論に固まった年になったわけです。これはもう、たぶん後戻りはしないと思います。
ここに、ある興味深い世論調査の結果があります。有名な世論調査機関で、ピュー・リサーチ・センターというところが2020年に欧米で行った世論調査です。その中で、例えばイギリスで「中国は好ましくない国だ」と答える人の割合が、2017年には37パーセントだったのが、2020年の夏には74パーセントと、ちょうど倍増しているのです。
―― 倍増ですね。
中西 ええ。これはイギリスだけではありません。アメリカも同じで、17年には47パーセントのアメリカ人が「中国は好ましくない」と思っていたのが、3年後には73パーセントがそう思うようになった。ドイツでは53パーセントが71パーセントに、スウェーデンでは49パーセントが85パーセントになった。
―― また、これもすごいですね。
中西 カナダ人は40パーセントが73パーセントになった。ちなみにオーストラリア人は、2017年は32パーセントだったのが、2020年には実に81パーセントと大幅に増えてしまった。これは「大きな」という言葉ではちょっとカバーできないほど、画期的な地殻変動です。中国に対して、ヨーロッパ諸国やカナダ、オーストラリア、アメリカといった国々が、ここまで態度を変えたということは、歴史的に見て、日本としてもやはり大いに注目すべきことなのです。
●戦狼外交によって孤立を深める中国
中西 日本は同じ文脈では語れませんけれども、私はいずれにしても、こ...