●安全保障分野の政策決定秩序はジェネラルズによって回復した
さて、マイケル・フリン安全担当補佐官がロシアゲートに関係した疑いで史上最短の任期で退き、替わって入ったハーバード・マクマスター中将が、まずNSC(National Security Council、国家安全保障会議)正常化およびオバマ政権で最悪であったといわれる国防省との関係改善を実施しました。しかし、ホワイトハウス全体ではバノン派とトランプファミリーとの権力闘争に端を発したメディアへのリーク合戦による混乱が続いていました。この権力闘争に敗れたラインス・プリーバス氏やショーン・スパイサー氏、アンソニー・スカラムッチ氏、そしてトランプ政権樹立の立役者であったスティーブ・バノン氏が政権を去りました。
その最中の2017年7月31日、国土安全保障省長官であった元海兵隊大将であるジョン・ケリー氏が首席補佐官として就任しました。ケリー氏はホワイトハウスの中に軍隊的な規律を持ち込み、秩序を回復させました。そして、特にケリー氏とマクマスター氏、マティス氏という現役および退役の将軍で構成される「ジェネラルズ」(と私は呼んでいます)によって、北朝鮮問題と安全保障分野の政策決定に関する秩序は著しく回復しました。また、マクマスター氏はトランプ大統領から就任当時命じられていた、国家安全保障戦略の策定に努力を傾注することができるようになりました。
●2017年の秋以降、ガバナンスが回復したトランプ政権
一方、こうした中にあっても、外交を担う国務省の情報収集と政策立案の機能不全は依然として解消されませんでした。変わって政権発足当初はFBI(Federal Bureau of Investigation、連邦捜査局)とともに反対側にいた情報コミュニティの一員であるCIA(Central Intelligence Agency、中央情報局)が、大統領の覚えめでたいマイク・ポンペイオ長官を担いで政権側につき、緊迫化する対北朝鮮政策と戦略策定に大きな役割を果たすようになってきました。
いずれにせよ、2017年の秋以降、トランプ政権は政権発足時の混乱から抜け出し、秩序は回復し始めたのです。これがトランプ劇場第二幕です。題名を付けるなら「統治(ガバナンス)の回復」です。
●2018年3月から主役級の役者を次々に交代させた
さて2018年3月に入り、D.C...