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“トランプ党”が強固になった中間選挙後の政治構造に注目

米国の対中政策~戦略の現状と課題(1)トランプ政権の政治構造の変遷

吉田正紀
元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員
概要・テキスト
「米中新冷戦」という言葉もよく見かけるようになったが、米中間の対立は、新型コロナ発生以降、それ以前にもまして激しさを見せている。実際のところ、米国の対中政策や戦略はどんな方向に向かっているのだろうか。まずはトランプ政権の成立時に立ち返り、その政治構造とこれまでの変遷を解説いただく。(全8話中第1話)
時間:09:52
収録日:2020/10/07
追加日:2020/10/20
カテゴリー:
≪全文≫

●トランプ支持を強固にした2018年秋の中間選挙


 皆さま、こんにちは。お久しぶりでございます。「テンミニッツTV」でお話しさせていただくのは2018年4月以来になろうかと思います。最後にお話しいたしましたのは、『トランプ劇場第三幕へ(2)統治回復から米朝首脳会談へ』という題名であったと覚えております。

 本日は、トランプ政権がオバマ政権から大きく変化させたといわれている安全保障政策や戦略、特に皆様のご関心が強い対中政策や戦略についてお話をさせていただければと思っております。それでは、早速、始めさせていただきます。

 まず最初に「トランプ政権 Over View」ということで、トランプ政権の世界観(安全保障観)と安全保障政策、戦略の概略をご紹介します。私の場合はトランプ政権を「一幕」「二幕」「三幕」「四幕」と呼んでいます。そのぐらいコロコロ様相が変わるということです。そういったことも第三幕までの講義でお話しした記憶がありますので、そのあたりをつなぎながらお話をさせていただければと思います。

 前回の「テンミニッツTV」で用いたのが、このようなスクリーンです。「2018.9以降の政治構造」と題して、中間選挙の勝利に向けてトランプ政権が必死になった過渡期の様子を図解しています。右上に「Generals」と書いてあります。トランプ政権の安全保障を担っていた退役海兵隊大将であるジョン・ケリー氏や、同じく退役海兵隊大将のジェームズ・マティス国防長官といった面々がここに入ります。

 この中間選挙の後にはどうなったかということを、まず簡単にお話しさせていただきます。中間選挙の結果、共和党は下院で敗北しましたが、上院は共和党の勝利でした。この選挙の過程において、ドナルド・トランプ大統領とは立場を異にする、いわゆる「共和党穏健派」といわれる方々の引退が相次ぎ、トランプ氏に反対する共和党候補が敗北したりしました。

 そのため、党内のトランプ大統領支持が非常に強固になり、以前は民主党と共和党の間にあった“トランプ党”とも呼ばれるトランプ陣営が共和党を飲み込むような形で一体化していきます。それが、中間選挙の後の状況でした。


●最もトランプ政権が機能していた頃に出来上がった「安全保障政策の基盤」


 そのようにトランプ氏が政権の中で...
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