紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか
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「暴力はいけません」では済まない…国際社会が抱える難題
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(2)国際社会の問題点と人間の本性
小原雅博(東京大学名誉教授)
なぜ国際社会は世界から戦争や紛争を止めることができないのだろうか。その原因について、「国家とは何か」といった根本的な問いから考える。しかし、そこには「暴力の独占」を正当化する国家を超越する「至上の権力」がない国際社会の問題点と、人間の本性として嫌悪しながらも魅了される暴力の抑制という課題がある。今回はこの難題について解説する。(2024年4月27日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全6話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分50秒
収録日:2024年4月27日
追加日:2024年8月14日
カテゴリー:
≪全文≫

●「正当化された暴力の独占」としての国家


―― 今、数10年間の大きな流れをご説明いただきました。状況としては非常に危機的な局面にも入っているというところでございます。そもそも、なぜ戦争が起きるのか、なぜ紛争が止まらないのか、抑止できないのかという部分でございますけれど、そこはいかがでしょうか。

小原 大きく2つあると思うのです。

 ここに黄色でマーカーをしてあるのですけれど、「国際社会」というキーワードと、「人間の本性」というキーワードです。この2つを頭においていただいたらいいと思うのです。

「国際社会」というのは何を言いたいかというと、国内社会との違いです。本質的な、構造的な違いがあるということなのです。これは何かといえば、皆さんの中にも勉強された方がいるかもしれませんが、ホッブズというイギリスの思想家がいたのです。

 近代に入るときに活躍された方なのですが、以前には、イタリアのマキャベリという、皆さんも『君主論』などを読まれたかもしれませんが、こういう人たちが、いわばリアリズムの父です。

 彼らが何を言っているかというと、いわゆる「主権」という議論をしたわけです。つまり人間というのは自然状態において、国家がない中においては、やはり自分の命を守ります。つまり生存していくために自分を守る、それなりの暴力というものによって自己保存の欲求に応えるためには、ある程度の力を持っていないと、いつ誰かから攻撃されるかもしれません。それに対して自分の身を守るために力を使う。つまり、そうした暴力を使う権利を「自然権」と彼らは呼んだわけです。そうした自然権を皆さん持っているということです。

 皆さんが誰かから危害や暴力を加えられたときに、自分の身を守るために、それに対して自らの力でもって自分の身を守るという、これは自然権として人間に与えられているのだということを言ったわけです。

 ところが、その結果、そうした自然状態において何が起こるかというと、人間同士の殺し合いが起きて、最終的に人類というのは絶滅するという自然状態が、実は国家がない中ではあったわけです。

 国家がなぜ生まれたかというと、そうした個人の暴力をそのままにしておかないで、そうした個人から暴力を取り上げる。例えば、豊臣秀吉の刀狩というものがありました。(...

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