ポスト国連と憲法9条・安保
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
集団的自衛権は国連の理念…「9条の精神」の戦争リスク
ポスト国連と憲法9条・安保(3)集団的自衛権と9条と国連憲章
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
「平和憲法」ともいわれる所以になっているのが日本の憲法9条。しかし、その「平和」はアメリカの存在があってこそ実現しているという現実がある。世界的に軍事的緊張感が高まっている今般の状況において、「9条の精神を世界に広めれば平和になる」だろうか。日本国憲法は「交戦権」を認めていないが、「自衛権」に基づいて自衛隊を置いている。では集団的自衛権は認められるのか? 実は集団的自衛権は、国連憲章の理念といってもいい。そして、むしろ逆に、「丸腰非武装の精神」を広めたら、国連が維持している世界秩序の基盤を崩してしまいかねない。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分53秒
収録日:2023年11月1日
追加日:2024年1月9日
≪全文≫

●世界の危機に対応できるか?今改めて考えるべき憲法9条


―― 日本の場合は、現状ですと、日米安保条約というものがありまして、一方で、憲法第9条というものがあるという形になっていまして、そもそも、橋爪先生はこの日米安保にはどういう意義があったものだとお考えでしょうか。

橋爪 日本国憲法をそのままストレートに読むと、日本は交戦権がない、戦争をする意思も能力もない、軍隊を置かないと。こう決めているわけです。

 これは、世界の現実政治からいうと、とてもとても危険です。なぜならば、丸腰なので、周辺のどんな国であっても、日本を占領したり、ちょっかいを出したりしようという強い動機になるからです。

 なぜ、日本国憲法が新憲法として成立した時に、それでもなんとかなっていたかというと、それはアメリカが日本を占領していたからです。アメリカが日本を占領している。これくらい日本にとって安全な状態はないのです。日本を侵略したらアメリカと喧嘩することになりますから。当時のアメリカはめちゃめちゃ強かったから、誰もこんなことはしないのです。

 さて、日本が独立した後に、アメリカと日本の関係が切れてしまうと、当然、日本はどういう方針で安全保障を図ればいいのかということの答えは憲法に書いていないですから、いろいろな可能性があるわけです。

 いろいろな議論がありましたけれども、アメリカが日米安保条約という条約を結びました。「日本は国を守るために最低限のことをしてください。いざという場合に、アメリカが日本に駆けつけて日本を守ってあげますよ」、こういう条約を結んだのです。そのために、基地も日本に置きましょうと。

 だから、独立したのだけれども、その後も日本が軍事占領されているときと軍事的力学はほとんど同じなのです。だから安全なのです。

 でも、「9条と日米安保条約は整合するのか」という問題があり、あまり整合しないというのを気がつきながら、これをほじくり返すとややこしいことになるから、ごまかしごまかし現在までやってきたというのが、日本のやり方です。

 このやり方で、最近、強まっている世界の危機に対応できるのかという問題があるので、自分の頭で一から考えなければいけないということです。


●日本政府の考え方は「交戦権と自衛権を区別する」


―― ただ、そういう状況の中でも、「9条の精神を世界に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
現在の宇宙の姿(2)太陽系から星の世界へ
太陽系とその外に広がる星の世界との関係
岡村定矩
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子