●「第2国連」をつくっても国連の問題点は解決しない
―― 日本の周りも、中国、北朝鮮と、ロシアもそうですけれども、核保有国だらけというのはよくいわれるところであります。その中で日本はどうするかというところになるわけですけれども、その前提として1つあるのが、安保理改革ですね。
実際、今、拒否権などで機能できなくなっているので、国連の安保理を変えたらいいのではないかというような議論も散々されていますけれども、ここについて、橋爪先生はどのようにお考えでしょうか。
橋爪 無理だと思います。
―― 無理。はい。
橋爪 まず、今いる安全保障理事会の常任理事国をやめさせないといけないのだけれども、やめるわけがないではないですか。特権にしがみついていて利益を得ているのですから。
―― はい。
橋爪 そうすると、唯一の方法は「第2国連」というものをつくることです。
―― なるほど。新しく国連をつくると。
橋爪 第1国連はそのままでもいいのです。第2国連をつくって、平和を求める主要な国々が、みんなそちらに加入するのです。そして第2国連のほうに実権を移していって、第2国連にも常任理事国か何かがあるかもしれないけれども、そこには戦争をやっている、やりそうな常任理事国は入れませんよというように言えばいいのです。
―― はい。
橋爪 そうするとどうなるかというと、第2国連には問題になる国家というものが入っていないわけだから、彼らの行動をコントロールする方法が全然ないですね。
―― まさに、先ほど先生がおっしゃった、(第二次世界大戦前の)「国際連盟」のときと同じ弱さになるということですか。
橋爪 そうです。だから彼らの暴れ放題になってしまう。第2国連をつくるといっても、一番大事な、問題のある国は入ってこないわけだから、彼らの行動にお墨付きを与えるような形になってしまうのです。だから、これも目的を達することができません。
―― なるほど。
●国連の機能不全を打開し得る「有志多国籍軍」
―― とすると、どうするべきかというところなのですが、どのようにお考えでしょうか。
橋爪 国連の目的は国連軍をつくることだったじゃないですか。
―― はい。
橋爪 今の常任理事国がある限り、国連軍は機能しません。
だから、平和を愛好する国々が集まって、戦争主義、専制主義で困った国があったと...