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国連改革は可能か…残されているのは「西側同盟」の可能性

ポスト国連と憲法9条・安保(2)有志多国籍軍と西側同盟の可能性

橋爪大三郎
社会学者
情報・テキスト
『核戦争、どうする日本?――「ポスト国連の時代」が始まった』(橋爪大三郎著、筑摩書房)
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現行の国連には、常任理事国の「拒否権」に由来する構造的な問題がある。では世界平和の実現をより難しいものにしているその問題を克服する方法として、いったいどのような策があり得るだろうか。「第2国連」「有志多国籍軍」「西側同盟」など、多国間連携の可能性を探る。(全5話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14:00
収録日:2023/11/01
追加日:2024/01/02
≪全文≫

●「第2国連」をつくっても国連の問題点は解決しない


―― 日本の周りも、中国、北朝鮮と、ロシアもそうですけれども、核保有国だらけというのはよくいわれるところであります。その中で日本はどうするかというところになるわけですけれども、その前提として1つあるのが、安保理改革ですね。

 実際、今、拒否権などで機能できなくなっているので、国連の安保理を変えたらいいのではないかというような議論も散々されていますけれども、ここについて、橋爪先生はどのようにお考えでしょうか。

橋爪 無理だと思います。

―― 無理。はい。

橋爪 まず、今いる安全保障理事会の常任理事国をやめさせないといけないのだけれども、やめるわけがないではないですか。特権にしがみついていて利益を得ているのですから。

―― はい。

橋爪 そうすると、唯一の方法は「第2国連」というものをつくることです。

―― なるほど。新しく国連をつくると。

橋爪 第1国連はそのままでもいいのです。第2国連をつくって、平和を求める主要な国々が、みんなそちらに加入するのです。そして第2国連のほうに実権を移していって、第2国連にも常任理事国か何かがあるかもしれないけれども、そこには戦争をやっている、やりそうな常任理事国は入れませんよというように言えばいいのです。

―― はい。

橋爪 そうするとどうなるかというと、第2国連には問題になる国家というものが入っていないわけだから、彼らの行動をコントロールする方法が全然ないですね。

―― まさに、先ほど先生がおっしゃった、(第二次世界大戦前の)「国際連盟」のときと同じ弱さになるということですか。

橋爪 そうです。だから彼らの暴れ放題になってしまう。第2国連をつくるといっても、一番大事な、問題のある国は入ってこないわけだから、彼らの行動にお墨付きを与えるような形になってしまうのです。だから、これも目的を達することができません。

―― なるほど。


●国連の機能不全を打開し得る「有志多国籍軍」


―― とすると、どうするべきかというところなのですが、どのようにお考えでしょうか。

橋爪 国連の目的は国連軍をつくることだったじゃないですか。

―― はい。

橋爪 今の常任理事国がある限り、国連軍は機能しません。

 だから、平和を愛好する国々が集まって、戦争主義、専制主義で困った国があったとする場合、その国に対して戦争をためらいませんよと言って、実際に軍事力を結集するのが唯一の方法になるのですけれども、これは有志多国籍軍という形になります。

 有志多国籍軍というのは国連に縛られない主権国家の集まりだから、やりたいことができます。だから、正しくてやりたいことがある場合、これは1つの方法です。

―― はい。

橋爪 というか、唯一の方法ではないでしょうか。

―― なるほど。先ほど先生がお話になった、その新しい国連(第2国連)と、今の有志多国籍軍の違いというのはどのようにお考えでしょうか。

橋爪 新しい国連というのは、大きい国も小さい国も、やる気のある国もない国も、全部入れないといけない。

―― 今の国連のようで、しかも、いわゆる今の常任理事国で好戦的な国が入っていない組織になるということですね。

橋爪 はい。それで、どのようにルールを決めるか知らないけれども、国連総会とか何かもあるかもしれないではないですか。

―― はい。

橋爪 国連総会は、1つの国が1票です。小さい国も全部1票を持っていて、買収されたりする国もあったりして、こう言ってはなんですが、国連総会の決議はあまり信用ならないものです。本当に責任ある決定というのは、今の常任理事国のような責任ある立場の国が下すべきなのだけれども、かえってそういうことの足手まといになるのではないでしょうか。

 問題は、「自分の国の軍隊を平和を守るために使えます」と、そこまで覚悟している国が集まって協力するというところにあるとすると、多国籍軍のほうが有効だということです。そして、総会の決議はもし必要だったら、今の国連でやればいいのです。

―― なるほど。


●ヨーロッパをも含めた東アジアの「西側同盟」の可能性


―― では今おっしゃった多国籍軍をどう編成するかということなのですが、『核戦争、どうする日本?――「ポスト国連の時代」が始まった』の中で「西側同盟」というものをつくるべきではないかとおっしゃっています。この西側同盟というのはどのようなイメージでしょうか。

橋爪 まずNATO(北大西洋条約機構)というものがあって、これが機能しているわけです。アメリカが1枚加わっていて、イギリス、フランスも加わっています。(また、)核兵器を持っているのです。そして、加盟国の主権と領土と安全を保障するという軍事同盟です。どの同盟国が侵...
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