ポスト国連と憲法9条・安保
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
軍事力で「今までと違う国際秩序」の実現をめざす危険な国
ポスト国連と憲法9条・安保(5)迫りくる戦争危機と日本の課題
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
「今までの国際秩序と違う秩序」を軍事力でつくろうとする国に対しては、本気で対峙するしかない。だが、軍事的に対抗しようとするタイミングは、実は、一番危ないタイミングでもある。だから、非常に非常に注意して、事柄を進めていかなければならない。優れた分析力と見通しと知性のある人が指導部にいて、コントロールしない限り、間違う可能性がある。今、まさに非常に危険な状態だといえるのだ。(全5話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:6分29秒
収録日:2023年11月1日
追加日:2024年1月23日
≪全文≫

●「今までの国際秩序と違う秩序」を軍事力でつくろうとする国


―― 今シリーズは最近のその国際状況の中で、国連の位置付けがどうかというところから話がスタートしたわけですけれども、ポスト国連という時代の中でどうあるべきかというのが、まさに日本国の憲法にも直結してくるということかと思います。そういう中で、非常に重要なメッセージをいただいたと思います。

 最後に、この問題を日本人としてどう考えるべきかというまとめをいただいてもよろしいでしょうか。

橋爪 日本人は、過去を反省して、日本人が悪いことを考え、軍隊を持たず、他国を侵略しなければ平和であると、こう思う癖がついたのです。けれども、物事には反面があるでしょう。どこかの国が良くない意図を持って戦争を仕掛けてくるということは十分あり得るわけです。それを止めることができなかったら、やはり戦争になるのです。

 かつての日本を考えてみると、1930年代の後半や1940年頃、日本は日本で世界のビジョンを持っていました。

―― はい。

橋爪 変なビジョンですよ。日本国を中心にして、今までの国際秩序と違った秩序を、少なくとも東アジアの辺りに実現しましょうというものです。そして、その秩序を担保するのは日本の軍事力です。「陸軍も海軍もしっかり頑張って、外国と戦って負けない程度の軍事力があります。あとは日本人のプライドです。精神力でもって、これを実現しましょう」という考え方です。これとそっくりのことを考えている国が近所にいると思いませんか。

―― そうですね。

橋爪 それで、軍事力も増えているわけです。そうすると、戦争の危険がそこにあるわけです。

 これを防ぐ現実的な方法というのは、「戦争になったらこっちも本気で戦うからね。それはやめなさいよ」と相手にそれを断念させることです。負けると分かれば、多分、断念する。少なくとも自分からは手を出さない。そういう意味で、平和が守れる可能性が高まります。


●「今が最後のチャンス」という危険な状態


橋爪 でも、これはなかなか注意しなければいけないところがあって、軍事力がおっつかっつ(五分五分)の場合、こちらが本気を出して、十分対抗できるだけの軍事力をこれから増やしていきますよというプログラムを発表した場合、そうなる前に、「今が最後のチャンスだから、今、戦争をしないでどうする」と相手が思う...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れた逆境の意味
津崎良典
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
宗教で読み解く世界(1)キリスト教の世界
キリスト教とは?…他の一神教との違いは神様と法律の関係
橋爪大三郎
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政