紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
人間の安全保障、JICAにみる持続力と自立のための支援活動
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(3)人間の安全保障、その理念と実践
小原雅博(東京大学名誉教授)
紛争を食い止めるためには、国同士の国際的な協調が必要なのはいうまでもない。では、そうした国家レベルでの安全保障とは別に、私たち個人が平和のためにできることはあるのだろうか。その方法として小原雅博氏が提案するのが、「人間の安全保障」である。個人の自立を尊重し、支援・協力するその理念と重要な実践方法について解説する。(2024年4月27日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全6話中第3話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分34秒
収録日:2024年4月27日
追加日:2024年8月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●「力と正義」が噛み合わない中で、いかに平和を実現するか


―― ということで、今大きな構図といいますか、なぜ戦争が(なくならないのか)というところなのですけれど、これは、基本的には国レベルの話、世界レベルの話なので、こういう話がガーンと来ますと、では一人ひとりの人間に何ができるのかという課題になってくると思うのです。そこで先生がご提唱されているのが、「人間の安全保障」というお話ですね。

小原 はい。

―― 今回の講義でございますけれど、こういう大きなところを見た上で、一人ひとりとしてどうやっていけるのかということを最後考えていくということになります。いよいよそのパートに少しずつ入っていくというところになります。

小原 これは、私の問題意識でもあるのですが、非常に難しいことです。今の戦争の流れをどうやって食い止めるのか。食い止めないと、下手をするとわれわれが被害者になる可能性があるわけです。

 そのために2つの方法があるわけです。今(第2話で)いったように、暴力というものを全否定するわけではなくて、やはり暴力が起こり得るという中で、その暴力からどうやって皆さんを守るのかという、まさに「なぜ国家ができたのか」と同じなのです。

 そこを考え出すと、どうしても先ほど(第2話で)いった抑止力、自衛権、反撃能力と、今いろいろな議論がされていますけれど、そうした国家レベルでの安全保障の議論がどうしても必要になってきます。これは古代ギリシャからリアリストがずっと一貫していってきたことです。

 同時に、それとは別途に、力だけではない部分です。先ほど(第2話で)規範の話をしました。道義と道徳、あるいは倫理、あるいは法、ルールです。こうしたものをしっかり作っていく。一貫して国際社会では「法の支配に基づく国際秩序」ということをいっているわけです。この法の支配をどうやって広げていくかです。

 もちろん前提には「力」が必要です。よく「力か正義か」ということをいわれます。力こそ正義なのだ、力あるものがやることがすなわち正義なのだと、力を持った人たちや国はそういうでしょう。力がなければいくら正義を叫んでも、「正義こそ力なのだ」といって、論理的に言っていることは非常に正しく、そうあるべきなのだけれど、実際の「ある」との間には、非常に大き...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ