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大統領候補不在の民主党、バイデン政権の苦悩は続く

「激動と激変の世界」の読み方2022(2)バイデン政権の今後と中国の躍進

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
情報・テキスト
アメリカは2022年に中間選挙を控える中、バイデン政権は止まらないインフレに加え、次々と可決される投票制限法に苦しんでいる。一方、中国は今も経済成長を続けており、アメリカを抜いて世界一の経済大国になると確実視されている。また、軍事力でも他国を圧倒しており、特に台湾をめぐっては、米国をはじめとした国際社会との間で緊張が続いている。(全4話中第2話)
(2022年1月18日開催島田塾年頭講演「激動と激変の時代:日本の選択」より)
時間:10:06
収録日:2022/01/18
追加日:2022/03/22
ジャンル:
≪全文≫

●インフレ昂進と投票制限法で窮地に立たされるバイデン政権


 (アメリカでは)インフレがどんどんどんどん高まっています。最初、FRB(連邦準備理事会)は一時的現象だと見ていたのですが、全然そうではないことが見えてきました。そうすると、テーパリングを前倒しして、金利を上げなければいけません。つい最近のFRBの会議では、金利は2022年に3回、2023年は3回、2024年は2回の計8回も上げることになりました。こんなことして大丈夫なのかと思いますが、それをもうスケジュールに乗せています。アメリカがそういうことをやり出すと、アメリカの景気も悪くなりますが、世界はもっとひどい目に遭います。

 それからもう一つ、とんでもないことが行われています。投票制限法について、日本ではあまり報道されないのですが、次のようなことが起こっています。前からトランプ氏が言っていますが、今、共和党の中で4割ぐらいの人は、大統領選挙の票はバイデンに盗まれたと言っています。あれは不正選挙だとみんなが信じています。

 何でそうなるかというと、次の理由があります。トランプ氏は、あの時の選挙でもって、約7400万票を取りました。これはアメリカの大統領選挙で初めての最大の票です。ところが、バイデン氏は8000万票以上を取ったのです。なぜそれができたのかというと、黒人やヒスパニックなどのマイノリティの人たちがなかなか投票できないときに、郵便投票でいいよと言ったからです。コロナの真っ只中で、投票所に行くと密になるから、誰もが郵便投票に乗ったのです。それでたくさんの人が投票して、バイデン氏は勝ちました。2000万票ぐらい郵便投票の下駄を履かせたから勝ったのだから、これは盗んだのと同じことだというのがトランプ氏の言い方です。

 そこで、盗ませないようにしてやろうというのが「投票制限法」です。これはジョージアから始まりました。アメリカは50州あって、うち30州は共和党議員の数のほうが多いのです。そこで通してしまおうというので、トランプ氏がフロリダから指令していて、どんどんそれが進んでいっています。

 どういうことをやっているかというと、郵便投票は、事前投票のように夕方5時で締め切ります。5時に締め切ると何が起きるかというと、工場労働者は行けなくなります。工場労働者はホワイトカラーではないので、昼間は抜けられません。それから写真付きの免許証を持ってこいと言います。そして、免許証は、アメリカではほとんど必須科目になっていて高校で取らせるのですが、黒人はまともに授業に出なかったりする人が多いので、結局取れない人が多いのです。そうすると、写真付きの免許証を持っていくことができないので、そこから弾かれてしまいます。そのほかにも、ドライブスルーはダメなどいくつもあります。


●アメリカの民主主義と指導力に対する不安


 これにバイデン氏は怒っていて、「あなたたちのやっていることは、21世紀のジム・クロウ法だ」と言っています。ジム・クロウ法は次のようなことです。19世紀に南北戦争で敗れた南部の諸州、ジョージアが一番本拠地で、奴隷制度が廃止されました。黒人は対等になったのですが、発言権を持たせないために、「まともな英語を話せないのだから、投票させない」という法律をつくりました。これがいつ解除されたか、知っていますか。1960年代の公民権法によって、です。100年間差別されていたのです。それと同じことをトランプ氏はやろうというのかということです。

 実際に2022年1月までにどうなったかというと、19の州が通してしまいました。これだと、バイデン氏が頑張っても2000万票ぐらい足らないので、中間選挙では民主党は大敗するでしょう。

 そうすると、どういうことが起きるかというと、今後の展望あるいはシナリオとして、バイデン氏の戦略が挫折します。アメリカはもっと分断が酷くなります。これは大統領選に影響します。大統領選は民主党が負けます。今、良い候補がいません。副大統領のカマラ・ハリス氏は全然人気がありません。他に誰か候補がいるかというと、見当たらないのです。だから大統領選挙はおそらく6~7割は民主党が負けて、トランプ氏の復活になる可能性があります。

 そのため、誰になっても国際協調主義はもう終わりでしょう。そうすると、日本はバイデン氏の国際協調主義に一番忠実についていっているので、これは大変なことになります。本当はそういうことを考えたほうがいいでしょう。

 やはり世界中はトランプ氏で懲りているので、アメリカの指導力はどんどん落ちていきます。そうすると、世界はもっと多極化して、混乱化します。非常...
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