バイデンの政治とアメリカの民主主義
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
10分でわかる「バイデン政権」
バイデンの政治とアメリカの民主主義(1)バイデン政権の特徴
小原雅博(東京大学名誉教授)
2020年のアメリカ大統領選挙において、民主党のジョー・バイデン氏が共和党のトランプ氏に勝利し、史上最高齢ながら第46代大統領に就任した。政治的分断が深まる中、中道派を貫くバイデン政権の特徴について解説する。(全4話中第1話)
時間:10分14秒
収録日:2021年7月7日
追加日:2021年9月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●バイデン大統領の経歴


 皆さん、こんにちは。東京大学名誉教授の小原雅博です。今日はジョー・バイデン大統領についてお話したいと思います。

 バイデン大統領の略歴を上に少し書きました。ひと言でいうと、大変豊富な政治経験を持った政治家です。上院議員を36年務めています。ここに書いてあるように、29歳で当選し、それ以来、議会の中ではジョン・マケインや、ミッチ・マコーネルといった共和党の重鎮とも非常に深い関係を持っています。ある意味で今の議会は、共和党と民主党の対立が非常に厳しいですが、その中で橋を架けられる政治家の1人だということです。

 特に外交面では、上院の外交委員長をやったり、オバマ政権時代にも、外交分野で米ソの核軍縮に関わったりするなど、いろいろなことをやってきました。そうした彼の立場は一貫して中道です。共和党が保守化し、民主党の中ではバーニー・サンダース議員のようにリベラルの急進化が進む中にあって、やはりこの中道を支えています。こうした彼の特徴を頭に入れておく必要があると思います。

 その粘り強さには、これまでの彼の公私にわたるいろいろな大きいセットバック、不幸があったことも関連しています。例えば、交通事故で最初の夫人を亡くしています。その時に1歳半の娘さんも亡くしています。息子2人は重体で、病院に入った息子を見舞うために、彼は上院議員の時に毎日、デラウェアとワシントンを往復しました。そうした彼の人柄は、彼の政治において非常に大きなポイントだと思います。

 しかしながら、彼の場合は史上最高齢の大統領なので、この大統領の任期1期を終えると82歳になります。例えばロナルド・レーガン元大統領は77歳でしたが、最終的には認知症も含めていろいろな問題がありました。アメリカの軍の最高司令官でもある大統領が、これだけ高齢になっていくので、健康の問題が非常に心配されます。

 この後どうなるのかということですが、ドナルド・トランプ前大統領がまた次に出てくることも噂されていて、彼自身がそうした動きをしています。もし副大統領のカマラ・ハリスがなれば、初の女性大統領としてもちろんその後4年間続きます。この4年後にどうなっていくのかは、彼の政策がどこまで続いていくかとも関係します。


●バイデン氏が目指す政治



スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫