バイデンの政治とアメリカの民主主義
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
小さな政府からの転換?アメリカの政府と市場の関係は?
バイデンの政治とアメリカの民主主義(3)「大きな政府」を目指すバイデン
小原雅博(東京大学名誉教授)
小さな政府による市場経済を進めてきたアメリカだが、所得格差や気候変動の問題が顕著になっており、バイデン政権のもとで「大きな政府」への転換に舵を切っている。そこで問われているのは政府と市場の関係だ。バイデン政権についての深掘り編講義・第2話。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分14秒
収録日:2021年7月7日
追加日:2021年10月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●中国の人口減少に対し、アメリカは増え続ける可能性がある


―― 日本の幕末もそうですが、社会が崩れたり、変革が進んでいったりしたときは、体制を変革して追いつくのか、あるいは何か新しいものができるのでしょうか。これにはいろいろな局面があり得るとは思います。

 今のバイデン政権の4年という期間や、先生が最後におっしゃったトランプ氏のいろいろな動きを考えたときに、どうなるのかということです。ここを先生はどのようにお考えですか。

小原 これはなかなか予想が難しいと思います。構造的な問題はそう簡単に変わらないと思います。他方で人口を見てみると、実は中国の人口は今、大変な問題に直面しています。要するに、これから人口が減っていく予想がもうかなり確実になってきているのです。

―― 日本以上の少子高齢社会になるということですか。

小原 最も大きな問題は、豊かになる前に歳を取る、すなわち高齢社会に入るということです。これは西側先進国では違います。日本やアメリカ、ヨーロッパにしても、豊かになってから高齢化が進みました。そうなる前ということが非常に大きな問題です。

 この結果、例えば年金のファンドが枯渇して、大変なことになるという問題も含めて、社会的な将来の不確実性が生まれてきます。こうした問題を中国は今、抱えているのです。

 アメリカの場合は、先ほどのトランプ氏のような排外的な思想はもちろんありますが、全体として見れば、外からの働く意欲のあるいろいろな移民を受け入れることにアメリカの強さがあります。それが結果的にアメリカ経済の発展に貢献します。全体としては、こうした移民を歓迎するほうが主流になっていると私は思います。

 そういう意味でいうと、ひょっとして中国はアメリカを2028年ぐらいに追い抜くかもしれません。しかし、長い目で見たときに、ひょっとしたらそれは一時期で、その後、アメリカがまた抜き返すかもしれません。なぜなら、アメリカの人口は増え続ける可能性があるからです。


●いまだに敗北を認めないトランプ陣営


 今は見通しがなかなか難しいですが、短期的に見れば、次の中間選挙と大統領選挙がどうなるのかは、われわれが見ないといけない一つの時間的な軸です。それを見ると、もちろん一部は反乱を起こしていますが、やはりトランプ氏の動き...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典