バイデンの政治とアメリカの民主主義
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
『ヒルビリー・エレジー』に読む白人労働者の不満と絶望
バイデンの政治とアメリカの民主主義(2)バイデン大統領の経歴と試練
政治と経済
小原雅博(東京大学名誉教授)
歴代最高齢の米大統領ジョー・バイデン氏は、実は大変な苦労人でもある。幼少期には吃音に悩まされ、また29歳で上院議員に当選した直後、交通事故で妻と娘を失ったが、そうした悲劇、逆境を乗り越えていったことが、現在の彼の人格、政治家としての人生を形作っている。現在、年齢による健康状態が不安視されているが、彼が向き合う課題はトランプ前政権により拡大した社会の分断をどう克服するかということだ。はたしてこの大きな試練、乗り越えることができるのか。バイデン政権についての深掘り編講義・第1話。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分00秒
収録日:2021年7月7日
追加日:2021年9月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●苦労を重ねながら、逆境を乗り越えてきたたくましさ


―― 皆さま、こんにちは。本日は小原雅博先生に、バイデン政権について深掘りした講義をいただきたいと思います。小原先生、どうぞよろしくお願いいたします。

小原 よろしくお願いします。

―― まずジョー・バイデン大統領の経歴から教えていただきたいと思います。アメリカの大統領というと、いろいろな経歴を持っている方が次々となられています。バイデン氏における特徴的な部分はどういうところでしょうか。

小原 彼の場合には、やはり公私にわたっていろいろな浮き沈みがあったことが、彼の人格、とりわけ良い面である、粘り強さを形作ったと思います。

 これは本当に悲劇ですが、彼が29歳だった1972年に確か史上5番目ぐらいの若さで、上院議員に当選します。しかし、その直後のクリスマス前に、クリスマスツリーを買いに行っていた奥様と子どもたち3人が乗っていた乗用車がトレーラーと衝突して、交通事故に巻き込まれます。それで奥様と1歳半のお嬢様が亡くなり、息子たちは病院に運ばれます。この落差、このショックはすごく大きかったと思います。

 それまでも、彼のご両親はブルーカラーで、中古車のセールスをしたりして一生懸命働いた勤勉な労働者階級でしたが、やはり彼自身も苦労しました。そして彼が最も苦労したのは吃音です。子どもの頃はあだ名で「バイバイ」と言われました。なぜかというと「バイデン」というのがなかなか言えなくて、からかわれたからです。「バイバイ」って言われたと言います。要するに、そうした逆境を乗り越えてきた逞しさや、粘り強さを持っている方です。

 そうして、結局36年、上院議員を務めました。今は共和党と民主党の対立が非常に激しいといわれますが、その中で彼自身は共和党との話し合いをして、合意を作り出していくことを本当に地道にやった人です。やはりジョン・マケイン氏や、ミッチ・マコーネル氏という共和党の重鎮はそこをよく分かっていて、彼を非常に高く評価していて、関係も非常に良いのです。彼の息子さんは、最終的には2015年に脳のがん(脳腫瘍)で亡くなります。同じ病気でマケイン氏も亡くなるのですが、その間にいろいろな友情がありました。

 だから、そういったある意味で幅広い信頼と支持を、長い議員生活と議員経験の中で培っ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮