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トランプ大統領がその継承へと突き進む「米国革命」の本質

2020年度独立記念日演説と第2次米国革命(5)独立記念日演説の核心その3

東秀敏
米国安全保障企画研究員
情報・テキスト
トランプ大統領はアンチテーゼとして、自らが継承しようとする「米国革命」の正当性を強調する。「神」「アメリカ」「愛国者」といった単語を駆使して、独立戦争以来の姿勢を引き継ぐ構えを示すのだ。それは米国第一主義に他ならない。そして、いよいよ「左翼文化革命」と「米国革命」の激突が、止揚の段階になる。(全7話中第5話)
時間:09:14
収録日:2020/07/29
追加日:2020/10/15
ジャンル:
≪全文≫

●トランプ大統領が継承しようとする「米国革命」と「神」の関係


 では、「米国革命」とは何なのか。ここからはアンチテーゼの段階に入ってきます。まず英語を読みます。

“We stand tall, we stand proud, and we only kneel to Almighty G od. (Applause.)
This is who we are. This is what we believe. And these are the values that will guide us as we strive to build an even better and greater future.”

 日本語訳を読みます。

「我々は堂々と振る舞い、誇りを持ち、全知全能の神に対しのみひれ伏します。
 これが我々の姿であります。これが我々の信仰であります。我々が更により良い、偉大なる将来を築く中、これらの価値観は指針となります。」

 ここで一番重要なのが、この太線で引いたところ(we only kneel to Almighty God)で、「全知全能の神に対しのみひれ伏します」と言っています。

 何に対してこういう表現を用いているかというと、前回説明した文化革命を煽る極左集団です。トランプ側の理解によると、極左集団は毛沢東主義にかぶれているので、彼らは無神論者である。そのため、(彼らにとっての)“全知全能の神”に値するのが彼らの指導者であるヒラリー・クリントン氏やバイデン氏など(民主党の)人たちである。そのため、このような人たちが絶対的な権力を振るうという構造になっています。

 これに対して正当な「米国革命」では、“神”が唯一トップにあり、いかなる大統領であっても“神”の力の制約を受けるという論理展開をしています。「これが我々の姿であります」と言っているように、“神”に対する信仰を明らかにし、絶対的な信頼を寄せています。

 そして、これがアメリカの本来の姿であり、今の極左の振る舞いは、アメリカの伝統的な精神からかなり逸脱しているものだとして、トランプ側と民主党の区別をはっきりさせています。


●「America」と「patriots」の意味するもの


 では、米国革命のさらなる説明に入ります。まず英語を読みます。

“Their goal is not a better America, their goal is the end of America.
In its place, they want power for themselves. But just as patriots did in centuries past, the American people will stand in their way ― and we will win, and win quickly and with great dignity. (Applause.)”

 日本語訳を読みます。

「左翼の目的は、より良いアメリカでなく、アメリカの終焉にあります。
 アメリカの代わりに、彼らは自分の力を欲しています。しかし、愛国者が数世紀前に行ったように、アメリカの国民は左翼に対して立ち塞がります。そして、我々は勝利し、素早くかつ偉大なる尊厳をもって勝つのであります。」

 これも、まさに独立戦争を彷彿させるくだりです。まず、左翼の目的は「良いアメリカ」ではなく、「アメリカの終焉」にあるというところで、「America」という表現を用いました。

 以前に私の講義で説明したように、「America」と「United States of America」の区別があります。「America」と表現すると、文化的コミュニティを指します。そのために、「より良いアメリカではなくアメリカの終焉」と、ここで言い切っている。極左勢力はアメリカの文化コミュニティを終わらせようとしていて、全く違う文化コミュニティをつくろうとしていると言っているわけです。

 二つ目の太線の箇所(But just as patriots did in centuries past)は、「しかし、愛国者が数世紀前に行ったように」です。「patriots」という表現を日本語では「愛国者」と訳しましたが、これは独立戦争でイギリスに対して戦った植民地アメリカ人のことを指します。

 植民地アメリカ人には、実は二勢力ありました。「patriots」と「loyalists」です。「patriots」というのは、ベンジャミン・フランクリンを筆頭とする建国の父たちであり、イギリスからの独立を望んだ人たちです。でも実は、独立を望んでいなかったアメリカ人もいました。イギリス王室を守ろうとした勢力ですが、彼らはどちらかというと国賊のような扱いを受けました。

 ですから、わざわざ「patriots」という表現を用いたことは、愛国者という意味にも取れますし、独立戦争時代の「分離派(独立派)」を指す用語としても取れるのです。この単語をわざわざ使ったことで、トランプ氏の突き進む道が、まさに米国革命の継承たるものであることを表そうとしています。


●米国革命の本質を表す「America first」


 続いて、演説は米国革命をさらに掘り下げます。

“We remember that governments exist to protect the safety and happiness of their own people. A nation must care for its own citizens first. We must take care of America first. It’s time.”

 日...
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