ショパンの音楽とポーランド
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ポーランド分割、11月蜂起…革命のエチュードの真意とは?
ショパンの音楽とポーランド(8)ポーランドの苦悩と革命のエチュード
江崎昌子(洗足学園音楽大学・大学院教授/日本ショパン協会理事)
ピアノ演奏と講義でショパンを追いかける連続シリーズの第8話は、「ポーランドの苦悩」と、そのなかでショパンが作曲した「革命のエチュード」に焦点を当てる。シュラフタ(貴族)たちによる民主主義的な政治を実現したポーランドは、それゆえこそ外国から干渉を招き、遂には3度に及んでロシア、オーストリア、プロイセンによって国家分割されてしまう。1830年に11月蜂起が起きるが、翌年には敗北。ちょうどその頃に、ショパンは「革命のエチュード」を作曲する。絶望的な激しい曲調だが、最後の叩きつける和音は長調で書かれている。それは、なぜなのだろうか。(全9話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15分26秒
収録日:2022年10月13日
追加日:2023年5月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●ポーランドの貴族シュラフタとは


―― 続きまして「ショパンとポーランドの苦悩」ということでお話をおうかがいしたいと思います。ポーランドの苦悩といいますと、やはり一度国がなくなってしまうことで、まさにその時期にショパンが人生を送っているというところになるわけですね。

 もともとポーランドは、たとえばヤゲヴォ朝(1386~1572年)の期間にはヨーロッパのなかでも指折りの大国だった時期もあります。その王朝がなくなった後で、貴族(シュラフタ)たちによって議会政治が始まり、国王を貴族たちが選ぶという民主的な政治が行われますが、逆にそれにつけ込まれてしまった。

 しかも、シュラフタによる政治は、一人でも反対があると議決ができないことになっていて、なかなか議決もできない。そのようななかで各国につけ込まれ、ロシア、オーストリア、プロイセンに分割されていくという悲しい歴史をたどります。

 シュラフタは貴族といわれていますが、実際にポーランドに行かれると、このシュラフタという言葉を聞いたりされることはあるのでしょうか。

江崎 そうですね。「シュラフタ」という名詞だけではなく、「シュラヘツネ」という言い方をします。これは「シュラヘツナ」というふうにも語尾変化しますが、非常に上品な、高雅な、あるいは典雅な、という感じで、至るところで使われる形容詞です。「とても上品な」という意味があります。

 ポーランドには、有名なものだけではなく、至るところに大小のお城があります。博物館になっていたり、避暑地にあってホテルのようにそこで滞在することもできる場になっていたりします。そういうところでは、シュラフタがどういうものを持ち、どういうものを使っていたか、どういう生活をしていたか、今でも見ることができます。ポーランドに行くと、「シュラフタ」というイメージが、絵を見たり、どういう洋服を着ていたということが分かるかと思います。

―― そういうものがあるわけですね。

江崎 そうですね。


●ポーランド分割とコシチューシコの反乱を経て


―― さっきも少し申し上げたように、民主的ではあったのだけれども、つけ込まれて弱体化していくという悲劇的な流れのなかで、第1次分割は1772年、第2次分割が1793年で、この第2次分割...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
おみくじと和歌の歴史(1)おみくじは詩歌を読む
おみくじは「吉凶」だけでなく「和歌や漢詩」を読むのが本当
平野多恵
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫