ショパンの音楽とポーランド
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
子守歌…左手がずっと同じ伴奏を繰り返す「夢の世界の作品」
ショパンの音楽とポーランド(4)ショパンと子守歌
江崎昌子(洗足学園音楽大学・大学院教授/日本ショパン協会理事)
ピアノ演奏と講義でショパンを追う連続シリーズ。続いて「ショパンと子守歌とノクターン」に焦点を当てるが、第4話で見ていくのは「子守歌」である。左手のゆったりした伴奏の上で、右手が自由に旋律をかなでる曲調は「ショパンの言語」と言われるものだが、その究極のすがたが子守歌にある。そのショパンの作風に影響を与えたかもしれないポーランドの子守歌も聴きながら、ショパンの音楽の秘密に迫る。(全9話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分37秒
収録日:2022年10月13日
追加日:2023年4月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●幼児の背を叩く母の左手のように68回連続する左手のリズム


―― では江崎先生、続きまして「ショパンと子守歌とノクターン」ということですが、「子守歌」と「ノクターン(夜想曲)」というテーマを選ばれたのはどういう理由ですか。

江崎 はい。「子守歌」については、まず皆さまにぜひ聴いていただきたいことがあります。たとえばショパンのノクターンでは、左手がゆったりと伴奏系を流れるように演奏して、右手がそれに対して悠々とメロディーを歌います。これはショパンの言語といってもいいくらいの音楽のスタイルなのですが、子守歌では、左手がずっと同じことを、68回繰り返すのです。

―― 完全に同じことをずっと?

江崎 まったく同じことを。さっきの伴奏形の究極のかたちで、一つのことしかしないのですが、まるでそれはお母さんが幼い子どもに同じ間隔で背中をこうやって叩いてあげるかのように、左手が同じことを繰り返すわけですね。その左手のベースがあって、右手は一つのメロディーを途切れることなく変奏していく。そういう変奏曲になるというすごいアイデアなんですね。

 右手が羽をつけたかのように、まるでこう、寝るときの私たちが、今起きている感覚と眠りに落ちる感覚のちょうどそのあいだあたりをさまよって、そして、しまいには寝ついてしまうというような、本当に夢の世界というものなのです。

 いかにショパンが同じメロディーを変化させていき、果てしなくさまよわせたか。それが子守歌のスタイルで、それは「ノクターン」のスタイルから来ています。その「ノクターン」でも、今までとはまたちょっと違うスタイルのものを聴いていただきたいと思っています。

―― 分かりました。

―― それでは、今お話をいただいたショパンの子守歌を、まずお聴きいただきたいと思います。「子守歌 作品57」、ぜひよろしくお願いいたします。

江崎 はい。

 (♪:ショパン作曲 子守歌 変ニ長調 作品57)

―― 本当に、繰り返しですね。

江崎 そうですね(笑)。

―― ずっと繰り返す上で、右手がいろいろ遊んでいくようなところですけれども。


●ショパンの記憶の底には、乳母の故郷の歌があった?


―― 今回、江崎先生に、これはポーランドの子守歌の音源ですか、もともとの、いわゆる民謡として歌われていた音源もご用意いただいています。これはショパンが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
山上憶良「好去好来の歌」を読む(1)山上憶良に学ぶ国際感覚
8世紀を代表する知識人・山上憶良が感じたグローバリズム
上野誠
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(3)孤食リスクと加齢に伴うホルモン変化
「孤食」が危ない…独身男性の一人の食事はうつのリスク2倍以上に
小川純人
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(2)どうすれば好循環が生まれるか
「お客様のため」に心が向かうとイノベーションも起きる
田村潤
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉