ショパンの音楽とポーランド
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マリアとサンド…ショパンの恋がどんな曲を生み出したのか
ショパンの音楽とポーランド(7)ショパンの恋
芸術と文化
江崎昌子(洗足学園音楽大学・大学院教授/日本ショパン協会理事)
ピアノ演奏と講義でショパンを追いかける連続シリーズ第7話では、「ショパンの恋」に焦点を当てる。婚約までしたマリアへの想いは「別れのワルツ」に込められたが、ショパンの結核もあって、周囲の反対により結ばれることがなかった。そんな経緯を知ったうえで聴くと、マリアの肖像画のような曲であるようにも思えてくる。その後、出会ったジョルジュ・サンドとの暮らしもまた、多くの名曲を生んだ。ここでは、ワルツ第6番(「子犬のワルツ」)とワルツ第7番を聴く。恋愛はショパンの名曲を導いたようである。(全9話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分52秒
収録日:2022年10月13日
追加日:2023年4月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●ショパンの恋愛が反映された名曲たち


―― では、続きまして、「ショパンの恋」というテーマでお話をいただきたいと思います。ショパンの生涯を追ったなか(第1話)でも、マリアとサンドという二人との恋を、とくにピックアップさせていただきました。ショパンが自らの芸術を書いて、高めていくなかで、恋愛というものはどういう影響をしたと江崎先生はお考えですか。

江崎 そうですね。まず、彼の初恋はコンスタンツィアという音楽院のときのお友達だったようです。

 その人のことを思って書いた作品は初期からあり、コンツェルト(ピアノ協奏曲)第2番第2楽章はじめ、ワルツなどにもあります。

 (そして)マリアとは本当に結婚するはずだったわけで、二人で幸せになるはずだったと思うのですが、恋が成就しなかったというところにおいて、音楽への影響はとてもたくさんあったと思います。ショパンが憧れる女性への気持ちは作品のなかで、いかにもショパンらしいパッセージや、激しい気持ちとして現れます。やはり恋愛の気持ちというのは特別なので、夢見るような、感情の起伏のような点で、作品のなかでたくさん展開されるものになっていったと思います。

―― はい。そうしましたら、まずはそのマリアにまつわる曲というのを。

江崎 そうですね。これは正式にはマリアに献呈したものではないですが、「別れのワルツ」といわれる(作品です)。ショパンがマリアにしたためてきた手紙をまとめて紙に包んで、「わが悲しみ」というふうに書いて紐で結びました。今でもその実物が残っているのですが、そうやってまとめてしまう。

 マリアとは結果的に別れることになりますが、この作品はまだ別れる頃ではないときにマリアのことを思って書いた、マリアの肖像画のような作品ではないかと思います。皆さんもよく知ってらっしゃる作品ですけれども。

―― 「ワルツ第9番 作品69-1」ということでございますね。どうぞよろしくお願いいたします。

 (♪:ショパン作曲 ワルツ第9番 変イ長調「告別」 作品69-1 )

―― 先ほど「肖像画のような曲だ」というお話がありましたが、そう思って聴くとまた、いろいろなイメージが膨らみそうな曲ですね。

江崎 そうですね。


●マリアとの別れ、サンドとの出会い…サンドの献身で生まれた数々の作品


―― マリアとの婚約は結局のところ、ショパンが結...

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