ショパンの音楽とポーランド
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ノクターン…ショパンは演奏会では即興的にアレンジしていた
ショパンの音楽とポーランド(5)ショパンとノクターン
芸術と文化
江崎昌子(洗足学園音楽大学・大学院教授/日本ショパン協会理事)
「子守歌」に続いて、有名なノクターン(ノクターン第2番 作品9-2)も聴いていく。ショパンのノクターンには、とても歌謡的な側面がある。普通の楽譜でもそうだが、実はショパンは自分自身がコンサートなどで演奏する際には、同じメロディーを2度と弾かないくらいに、さまざまな装飾を即興的に加えていたという。今回は、そのような装飾が書き込まれている楽譜を演奏する。現代のジャズの演奏にも通じるような音楽の楽しみ方が、そこにはあった。(全9話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分11秒
収録日:2022年10月13日
追加日:2023年4月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●「人間的な歌」であることがノクターン(夜想曲)の魅力


―― ノクターンと民謡の違いというのは、どういうイメージですか。

江崎 はい。ノクターンというのは、もともとフィールドという作曲家が音楽のなかでつくりました。左手は分散和音をゆったりと演奏し、右手が夜(を暗示する)。「ノクターン」は日本語ではとても素敵に「夜に想う曲」と書きますね。

―― 「夜想曲」という。

江崎 そう、本当にとても素敵で、ぴったりの「夜想曲」なのですが、セレナーデ風の音楽になっているわけです。

 民謡とはもしかしたらちょっと違うかもしれないですが、民謡には必ず歌がある。民謡=歌ですけれども、季節の歌だったり、行事であったり、いろいろと民衆の一番人間的な歌が込められているものがあります。

 そういう意味ではとても歌謡的なものがノクターンのスタイルです。そういう意味では、ショパンの場合は、民謡から来るものがあったかもしれないですね。

―― なるほど。今回、弾いていただけるのは「ノクターン第2番 作品9-2」ということですね。

江崎 はい。これは皆さんが普段聴かれるのとは違うスタイルで、ポーランドの「ナショナル・エディション」というものです。そこには2通り楽譜がありまして、もともと皆さんがよく目にする楽譜や耳にするもの、そうではなくショパンが書き残したもの全部を載せたものがあるのです。

 ショパンは、同じメロディーを2回繰り返すときには少しずつ変えるようにしていました。実際の演奏でも楽譜とは違い、とても即興的に変えてみたりするようなことがあったのです。それは、別にノクターンに限らず、すべての作品の中でそれが現れるわけですが、今日はそのバリエーションというか、いろいろ変わっているもののバージョンで、弾いてみたいと思います。

―― はい、ぜひ、よろしくお願いいたします。

江崎 はい。

 (♪:ショパン作曲 ノクターン第2番 変ホ長調 作品9-2)

―― ありがとうございます。やはり今お話しいただいたように非常に装飾的なかたちで、次々に発展していく感じもありますね。

江崎 そうですね。こんなふうにショパンは、レッスンのときに「こんなふうにもできるよ」というふうに、もともとの楽譜の上にちょこちょこっと書いたりしていたのです。なので、この楽譜はパデレフスキなどがこういうふうに弾いて...

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