古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家
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「流行歌界のプリンス」松平晃は戦前の古関作品に重要な歌手
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(4)古関メロディの誕生
刑部芳則(日本大学商学部総合教育科目教授)
苦悩の末、26万枚のヒット作「船頭可愛や」を生み出したとはいえ、すぐに古関裕而のもとに流行歌作曲の依頼が殺到したわけではなかった。松平晃や高橋掬太郎とコンビを組み、ヒット作を狙いながらも、当時「新民謡」と呼ばれた地域進行曲の作曲を手がけることになった古関は、その過程で流行歌的な要素、すなわち戦前の古関メロディの兆しを見出すことになる。(全8話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分07秒
収録日:2020年8月18日
追加日:2020年10月20日
≪全文≫

●松平晃さんとコンビを組んだ理由


―― (1935年の「船頭可愛や」以降)次々とヒット曲を当てたというわけでは必ずしもないわけですね。

刑部 そうですね。古関さんの初期の頃の作品、特に戦前の作品を考えるときの重要な歌手に、松平晃さんという方がいます。今やほとんど忘れ去られてしまっていますけど、この方は藤山一郎さんと同い年です。藤山さんは平成5年に亡くなっていますから、もし長生きしていれば、多くの方がご存じだったと思うのです。

―― いつ頃お亡くなりになったのですか。

刑部 1961(昭和36)年に若くしてお亡くなりになったため、今となっては知る人が少なくなってしまいました。今、朝ドラで伊藤久男さんのことを「プリンス」と呼んでいますが、実は「歌謡界のプリンス」と呼ばれていたのが松平晃さんなのです。非常に二枚目で、鼻にかかった甘い歌声が、当時の10代、20代の若い人たちに非常に人気でした。

 古関さんは、この方とのコンビが多い。なぜ、この二人のコンビが多いかと考えると、最初に当たった「利根の舟唄」を歌ったのが松平さんだからだと私は考えています。

―― 験がいいということでしょうか。

刑部 はい。大ヒットになった「船頭可愛や」の裏面「沖のかもめ」を歌ったのも松平さんです。コロムビアからすれば、古関さんはなかなかヒット曲が出ないで悩んでいるけれど、松平さんと組むとヒット曲が生まれる可能性が高いと考え、コンビを組ませたのでしょう。

―― なるほど。今もそうかもしれませんけれども、当時、作詞、作曲、歌手と、この3つの要素の相性のよさというのがあったのでしょうか。

刑部 やはり名コンビ、名トリオというのはありますね。例えば、これは面白い話なのですが、古賀政男さんの場合、藤山一郎さんとの出会いが大きい。「酒は涙か溜息か」「丘を越えて」「影を慕いて」、それからレコード会社は変わりますが、「東京ラプソディ」や「青い背広で」など、戦前の藤山さんの大ヒット曲のほとんどは古賀政男さんとのコンビというのもおもしろいですね。

 一方で、古賀さんが最大のライバルと言っていたのは、実は古関裕而さんでも、服部良一さんでもなく、江口夜詩さんという作曲家です。その江口さんと名コンビと言われたのが、実は松平晃さんでした。だから、松平さんのヒット曲には江口...

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