古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家
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幻の舞踏組曲「竹取物語」から生まれた大切な縁と作曲家の道
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六甲おろし、栄冠は君に輝く、長崎の鐘…古関裕而の魅力
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(1)恩師との出会い
芸術と文化
刑部芳則(日本大学商学部准教授)
2020年の朝ドラ『エール』で脚光を浴びた作曲家・古関裕而。「紺碧の空」「船頭可愛や」「六甲おろし(阪神タイガースの歌)」「露営の歌」「若鷲の歌」「栄冠は君に輝く」「オリンピック・マーチ」「巨人軍の歌」「長崎の鐘」「君の名は」など、数々の流行歌、戦時歌謡、スポーツ音楽をつくった彼の音楽のルーツはクラシックにあった。(全8話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分08秒
収録日:2020年8月18日
追加日:2020年10月6日
≪全文≫

●テレビでニコニコしていた、あのおじいさんの正体


―― 皆様、こんにちは。本日は刑部芳則先生をお招きして、古関裕而さんについての講義をお聴きしたいと思っています。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

刑部 どうぞよろしくお願いいたします。

―― 刑部先生の『古関裕而――流行作曲家と激動の昭和』(中公新書)は、いつ頃、発刊されたものでしょうか。

刑部 2019年の11月に刊行しました。

―― これを拝読すると、先生は、お若い時から古関さんが好きだったということですね。

刑部 そうですね。

―― 何歳くらいで古関さんの魅力に惹かれたのでしょうか。

刑部 私が最初に古関さんをテレビで見たのは幼稚園の頃ですね。『オールスター家族対抗歌合戦』の審査員長をされていて、優しいおじいさんだなと思って興味を持ちました。

―― 当時、スキンヘッドでしたよね。

刑部 そうですね。それから10年くらい経ち、中学生になって音楽を聴くようになった時に、いわゆる平成の新しいミュージックにはあまり興味が湧きませんでした。それで、昭和の初めの頃、同じような若い人たちがどういう曲を聴いていたのだろうと思って、最初に、古賀政男さんから入りました。1枚の戦時歌謡のCDを買った中に「露営の歌」とか、「若鷲の歌」とか、「海の進軍」だとかが入っていて、「この曲はいいなあ」と思って、歌詞カードを見ると、みんな古関裕而の作曲なのです。

―― なるほど。

刑部 その時、約10年前に見ていた子どもの頃の記憶が蘇ったのです。「あっ、古関裕而ってどこかで聞いたことがあるな。あっ、そうだ。あの『オールスター家族対抗歌合戦』で、いつもニコニコしてあまりものを言わなかった、あの優しいおじいさんだ」と。あんなおじいさんが、こんな勇ましい勇壮な曲を書いているのだということで、興味を持ちました。「露営の歌」が1曲目に入っていたのですけれども、前奏、間奏を含めて、まるでロシアの交響曲を聴いているようで、すごくいいのです。それで古関さんのことを調べよう、古関さんの曲を集めようという形でずっとやり続けてきたのです。

―― 中学生くらいの時にお気づきになられていたということですね。

刑部 そうですね。


●中学生をも魅了する特徴的なメロディ


―― ロシアの交響曲というお話がありましたが、今、振り返ったときに、どういう要素に一番惹か...

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