古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
古関裕而のライバルは古関裕而――校歌も社歌も古関メロディで
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(7)戦後の歌と鎮魂
刑部芳則(日本大学商学部総合教育科目教授)
終戦によって、国民を励まし、人々とともにあった戦時歌謡の時代は終わった。レクイエムとも言える「長崎の鐘」を作曲した古関裕而が生み出す音楽も、戦後復興とともに次第に明るい曲調のものが増えていく。子どもたちを夢中にさせた「とんがり帽子」、NHKの「スポーツショー行進曲」、甲子園で流れる「栄冠は君に輝く」などはその好例だろう。(全8話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分09秒
収録日:2020年8月18日
追加日:2020年11月10日
≪全文≫

●子どもたちに希望を与えた「とんがり帽子」


―― 古関さんは戦中、大衆を応援し、国民もそれに励まされ、がんばった。それが戦後の時代にもつながっていくということで、今度は戦後の歌についてお話を聞きたいと思います。古関さんは非常に息長く活躍された作曲家ですので、いろいろな特徴がありますが、戦時中は、勇壮で、短調で、心に沁み入るような曲が多かった。戦後になると、どういう曲になっていくのですか。

刑部 戦後は、平和、戦後復興というような形で、国民に希望や夢を与える明るい曲調のものが増えていきます。それから、クラシック的なセンスを活かした雄大な格調高いメロディラインが多く見受けられるようになりますね。

―― 『鐘の鳴る丘』の曲は有名ですが、もともとはラジオの曲だったのですか。

刑部 そうですね。それは、GHQ(占領軍)の中にあったCIE(民間情報教育局)が、戦災孤児や浮浪児救済のキャンペーンとして作らせた番組です。その主題歌が「とんがり帽子」で、人気のあった童謡歌手の川田正子さんが歌っていました。放送時間になると、子どもたちはラジオの前で正座して、夢中になって聴いていたそうです。

―― 「鐘が鳴ります キンコンカン」という歌詞があって、非常に明るく、頭から抜けるような歌声ですね。

刑部 そうですね。戦災孤児たちには、「お父さんやお母さんがいなくなっても、僕たちは元気にたくましく生きていくのだ」という希望を与え、そうではない子どもたちにも、「家を焼かれても、まだ父さん、母さんたちがいる。両親がいなくなってしまった子どもたちだってがんばっているのだから、自分たちも明日を夢見て生きていこう」と思わせるような番組でしたね。


●全ての戦没者のためのレクイエム


―― あと、今でも歌番組に取り上げられる戦後の古関さんの曲に「長崎の鐘」がありますが、これはどういう思いで作られた曲なのでしょうか。

刑部 これは長崎に落ちた原子爆弾で自らも被爆した永井隆さんが書いた作品が原作になっています。それを目にしたサトウハチローさんが詞を付けて、古関さんが作曲したものです。古関さんはこの作品をもらった時に、「ああ、そうだ。自分の戦時歌謡と共に戦地に赴き、亡くなった人もいる。長崎の原爆で亡くなった...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎
シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?
河合祥一郎
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
音楽の父バッハ…なぜ「音楽」が西洋でリベラルアーツなのか?
樋口隆一
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
「万葉集」の聖徳太子――語りかける人(1)日本人の憧れ
聖徳太子と日本人…「実在しなかった」説の真相とは?
上野誠
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
クラシック音楽で世界史がわかる…宗教音楽からクラシックへ
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(3)水戸藩の問題と安政の大獄
安政の大獄は失政!?…井伊直弼は何を見誤ったのか
山内昌之
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
ギリシア悲劇への誘い(7)ギリシア悲劇を論じた歴史
アリストテレス、ニーチェ…哲学者によるギリシア悲劇批評
納富信留
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(6)不在因果の問題
不作為(◯◯しなかったこと)の原因は無限に拡散する
一ノ瀬正樹