小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える
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江藤淳と柄谷行人、1960年代に彼らが感じた焦燥感とは
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(6)小林・吉本以降の批評:江藤淳と柄谷行人
浜崎洋介(文芸批評家/ 京都大学経営管理大学院特定准教授)
小林秀雄と吉本隆明以降の批評家にはどのような人物がいるのか。時代背景としては1960年代、つまり60年安保闘争から高度経済成長期ということになるが、この時期の批評家で代表的な人物といえば、江藤淳と柄谷行人ではないだろうか。この2人について理解することで、小林と吉本からどのようなものが受け継がれてきたか、その内実がよく分かる。(全7話中第6話)
時間:12分51秒
収録日:2023年4月7日
追加日:2023年9月19日
≪全文≫

●小林と吉本以降の批評に影響した1960年安保と高度経済成長


 皆さん、こんにちは。文芸批評家の浜崎洋介です。前回まで、小林秀雄と吉本隆明の批評ということを見ていったわけですが、今日は小林、吉本以降に批評はどうなったのか、あるいは文芸とか文学の糸目はどうなったのかということを、2人の批評家に登場してもらって簡単に見ておきたいと思います。

 代表的な2人です。江藤淳という人と、もう1人は柄谷行人ということです。今日はその彼らの履歴までは追うことはできませんが、批評の流れというか、批評の文脈みたいなものは確認できるのではないかと思います。

 彼らの批評を見る前に、実は吉本隆明が1960年代に活躍しますが、それ以後にずいぶん時代が変化したということについて確認しておきたいと思います。

 これは特に、1960年代の変化だったといっていいでしょう。つまり、それが結果として表れるのは1970年代ということになりますが、1960年代のまさに高度経済成長において、この国はやはりドラスティックに変わっていくことになります。

 1つは、まさに1960年安保闘争があったわけですが、1960年安保闘争によって、安保が闘争を乗り越えたと言えるかもしれませんが、岸信介政権が1960年安保を通すわけです。そのことによって、9条安保体制というものが完全に出来上がることになります。

 この9条安保体制を簡単に言うと、平和憲法といえば聞こえはいいのですが、つまり交戦権がないことと、戦力は持てないということになっていますから、自分たちでは安保ができません。ですから、日米安保同盟を結んでアメリカに助けてもらおうという話です。本当に助けてくれるかどうかは別なのですが、とはいえ、そういう体制が出来上がりました。

 そのことによって対米依存というのが、今どきの言葉でいうと、デフォルトになるわけです。つまり前提になるわけです。そして、対米依存が前提になるということは、この国家が主権的なものをどのように扱っていくのかといったことについての国家の当事者意識といったものが溶けていくのです。溶解するのです。それがまず1つあります。

 もう1つ、1960年代はまさに農村から離脱して、都会で働くという人が一気に出てくるわけです。当時、中学校卒業の人々で、都会に働きに行くという人々を「金の卵」とい...

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