小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
デビュー論文「様々なる意匠」小林秀雄の試みと直観の真意
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(3)小林秀雄の批評
浜崎洋介(文芸批評家/ 京都大学経営管理大学院特定准教授)
大正から昭和初期にかけて起きた戦争景気、関東大震災、昭和恐慌など時代の荒波は、日本国民の心に多くの影響を与えた。そうした中、昭和4(1927)年に「様々なる意匠」という論文で文壇にデビューした小林秀雄は、これらの人々の内的感覚に近代を接ぎ木していくのである。今回の講義では、小林秀雄がそこで提示した「直観」という言葉を通じて社会と交わること、そして、「直観」を豊かにすることについて解説する。(全7話中第3話)
時間:13分05秒
収録日:2023年4月7日
追加日:2023年8月29日
≪全文≫

●「私には常に舞台より楽屋の方が面白い」


 こんにちは。文芸批評家の浜崎洋介です。小林秀雄と吉本隆明を対比しながら、日本の近代を考えようという講座ですが、その第3回目です。いよいよ小林秀雄の批評、「様々なる意匠」というデビュー論文ですが、それに注目しつつ、それ以後の実践についても簡単にご紹介したいと思っています。

 まず重要なのは、前回の講義の続きということでもありますが、日本人の生き方、まさに「型」ですね、それをなくしてしまったということが、昭和初年代に起こってしまうということです。

 これは私自身が言っていることでもありますが、同時にみんなが言っていることでもあり、実は大正期に、すでに森鷗外という文学者が、「礼儀小言」というエッセーを書いています。その中でどんどん、どんどん昔ながらの生き方がなくなっていってしまい、その不安感の中で日本人が浮動しているということを言っています。

 そして、それを取り上げながら、例えば唐木順三という文芸批評家がいますが、彼も『現代史への試み』という本を書いています。それほどまでに実は生き方をなくしてしまったということは、当時の非常に大きな主題だったのです。であるがゆえに、なくしてしまったその穴にいろんなものが流れ込むわけです。つまり、なくしてしまったそれを、いろんな理念で補おうとするわけです。

 これが前回言ったプロレタリア文学、つまりマルクス主義を目標とした文学だったり、あるいは象徴主義、要するにこの世界を否定してもっと芸術的な世界だけに戯れようとするあり方だったり、あるいは新感覚派、つまり都会的なモダンな感覚に身を任せて、その中で感覚の断片を拾っていきながら文学をしようとするような、そのような派閥です。

 そういったものがどんどん流行っていくわけですが、実は「様々なる意匠」という批評は、まさにそれらを批評した、あるいは批判したものだと言っていいかと思います。

 つまりは自分の外にある理論、あるいは自分の外にある身元保証です。それによって自分を吊り支えるような、そういうイデオロギーを批判した試みを、昭和4(1927)年という、まさにマルクス主義が一番風靡しているそのど真ん中でやったというのが、まさに小林秀雄の最初のデビュー論文でした。

 これは実は『改造』という雑誌...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
イスラム教におけるシーア派とスンニ派の違い
イスラム教スンニ派とシーア派の違いとは?
山内昌之
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
「アフォーダンス」心理学~環境に意味がある(1)アフォーダンスとは何か-1
トップアスリートが語る究極の「アフォーダンス」とは
佐々木正人

人気の講義ランキングTOP10
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編(2)『唯信鈔文意』と方便法身
阿弥陀仏は無限の光だ…親鸞の『唯信鈔文意』の教えとは?
賴住光子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(4)「適用拡大」で貧困老人をなくす
日本の転勤はおかしい…非人間的な制度の最たるものだ
出口治明
変化する日本株式市場とPEファンド(1)近年急増するPE投資
プライベート・エクイティ・ファンドとは何か…その手法は?
百瀬裕規